愛されピンクカルサイト
「 これ、なんの石ですかー? 」
新宿御苑前にサロンを構えていた頃、並ぶ石達の中で一際質問を浴びることが多かったのがこのピンクカルサイトだった。
確かに見た目では何か分かりづらい風貌で、今の私だったらこの石を選ぶか分からない。
と言うのもこの石は、私がクリスタルヒーリングの世界に踏み入れる時に初めて購入したものなのだ。
まだ私に何の知識も経験も無かった頃。
クリスタルに触れてみたいけど何処から何から手を付けたら良いのかすら分からなかった時に、クリスタルヒーリングを提供するサロンさんのネットショップに出ていたのがこのピンクカルサイトだ。
だから、これが私のファーストクリスタルと言うことになる。
不透明な白いカルサイトの中にピンクが浮かび上がる可愛らしいカルサイトは、改めて見返してみるとあの頃の不安定で繊細な自分像が思い出される。
自分に対する愛も信頼も自信も全く分かっていなかった当時の私は、とかく不安定だった。
ふとしたことで感情が揺さぶられて、泣いたり怒ったり。
線が細くて神経質。
様々な情報に右往左往する自分軸の無い人間だった。
そんな私にこのピンクカルサイトは、安心すること、落ち着きや安らぎを教えてくれたんだと思っている。
当時はクリスタルが何か伝えてくれるだなんて全く分からなかったけれど、今になって振り返るとそう言うことだったんだなぁとしみじみするのだ。
ピンクカルサイトは、まるで女性誌のキャッチコピーのように愛されることを許容させる。
愛され○○みたいなのがピッタリで、それは自ら愛することがまだ出来ない少女が愛を他者に求める姿だ。
生まれたてのフワフワとした無垢で可愛いらしい愛。
赤ん坊が自分が愛されること、愛を与えられて当然の存在だと言うことをまるで疑わない様な、世界を信頼して無垢な愛を求める姿。
私達はそこから始まる。
愛され、安らぎ、心のスペースを健全に保つことから私達は自己存在を肯定する。
思えば私の魂の旅路も、そこから始まったのだ。
"貴方は愛されるに値する存在です。"
ピンクカルサイトはそんな愛の根底を支てくれた。
愛されて良い。与えられて良い。受け取って良い。
長女気質の私が自分にそんなことを許可するなんて思いもよらなかったし、第一自分にそんな受容が必要だなんてことすら気づいていなかった。
自律的な自ら愛することなんてまだまだ二の次で、先ずは自分に与えること、受け取ることから自己受容を知り、自らを満たすことから始めよう。
そんな癒しの入口をナビゲートしてくれたのがピンクカルサイトだ。
世界は愛に満ちていて、私達はそれを信頼して開いて行くことが出来るのだと。
愛すること、愛されること。
需要と供給の様にそのバランスをとること。
愛の成熟と、幼児性のバランス。
実はピンクカルサイトの愛は多層的で、知性的でもあるのだけれど、その辺りも今ではもう少しだけ、分かる様になって来たかなと思っている。
愛の深呼吸を教えてくれる石。
同じ石が誰にでも同じ意味を持つとは限らないから、貴方には貴方の、そんな石との出会いがきっとある。
世界は愛に満ちているのだから。
Touka