ソムリエの永久保存版! 100種類の珍しいチーズを食べた“率直感想”を全公開
この駅から歩いて10分ほど…
こんな感じの裏路地にある…
「コックダイナー」という飲み屋さんの店主が書いた…
という本の続編にあたる…
という本の発売を記念しておこなった…
というキャンペーンに当選された方が
偶然にも「9月16日に飲み屋さんを開店します」というこちらの方で…
(本当に偶然)
↓
南斗さん
https://twitter.com/nantoseiten
1人の人間が一気に100種類ものチーズ
を味わえる機会はめったにないので、
実際にどんな味がするものなのか、
1種類食べるたびに食べた感想をレポートしていただけませんか?
とお願いしたところ、
二つ返事で快く引き受けてくださいました。
しかし…
簡単にお願いしたはものの
100種類のチーズって、想像するのと現物を見るのとでは大違いだ。
だってこれですよ。
最初は「わーすごーい」
とか可愛い声あげても
写メとってインスタあげたらすっかり満足して、
あとはダンボールの蓋をそっと閉じて
そのまま放置してフードロスということに、
ならないでしょうか。
あるいは
ご近所さんのおすそわけに
全部まとめて鍋で溶かして、大量のチーズフォンデュに
とりあえず冷凍庫に入れるだけ入れて、災害時のための保存食に
フリマで売るか
いや、無理だ。
しかし当選者の南斗さんは、
きちんとご自身の舌で、
100種類すべてを味わい、
100種類をすべてレポートしてくれたのです。
これは貴重な資料になると考え、
今回の記事は一般人の関心を引けるかどうかはまったく考慮に入れず、
ソムリエあるいはソムリエをめざすような方のために
どーんとこのnoteに公開させていただくことにしました(南斗さんご快諾ありがとうございます)。
100種類のチーズの一部はスタッフも試食会で食べているため、
心当たりのあるチーズのみ、素人なりのコメントも加えさせていただいております。
それでは魂の記録をどうぞ。
大きめのスーパーにいけば入手できる「ウオッシュにしてはやさしめ」なチーズですが、カルヴァドスで洗ったこのチーズは別次元のクセの強さがありました。どんなクセか? メモには「あとで考える」と書いたきりです。
フェタはめちゃくちゃ酸っぱい。なので最初はあんまりおいしいと思えなかったんですが、翌日になると(あれフェタないの、口さみしい?)と感じました。この感覚はなんなのかよく考えたところ、たぶん梅干しみたい。
ロックフォールはよく知ってましたが、なんだなんだパピヨン・プレミウム9ヵ月って。ガンダムGP03 デンドロビウムみたいな迫力だ。実際知ってるロックフォールの味ではなかった。
これはわかりやすくおいしいやつ。スモークしたモッツァレラチーズみたいな味わいですが、スモークの味って1秒で飯盒炊爨のシーンに飛ばされるみたいな破壊力があって、というかハンゴウスイサンってこんなに難しい漢字だったのか。
このカブラレスも試食会で食べたようですが、メモには「寿司屋で出されたら爆笑する味」と残されていました。酔っ払っていたのでしょう。
はじめはプロセスチーズのように平易な味かと思いきや、ふんわりと酒粕のような風味があって、一口食べるたびに、うわ苦手かも? いや普通? 全然なんでもなかったごめん…のリピート。
スーパーで最も売ってると思う青カビ。そこそこ中心地から離れたスーパーでも、ゴルゴンゾーラのピカンテとドルチェだけはよく見かけます。なぜゴルゴンゾーラだけが一人勝ちできたのか? ビジネス記事みたい。普通にうまい。
モッツァレラの上位互換。ただでさえ噛めばジューシーな瑞々しいモッツァレラが、ブファローロ・ディ・ブッファラとかなんとかって、ヨダレがだらだら滴ってきてるっぽい音の響きが最高ですね。
いやーみんな大好きミモレット!
の24ヵ月だけいただいちゃったのですが、これはもう「ウマイ」という古代生物がいたとしたら、その化石です。
これはいけません! ただでさえ熟成(臭い)の至高レベルにあるエポワスを、どうにかこうにかしたらさらに進化させてしまったようだ。臭いが行き過ぎると化学薬品を思わせる未知の刺激しかないのですが、盛り付けたお皿をしばらく放置することにより、ようやく理解できる「臭い」まで落ち着くレベル。心かき乱される。
やさしいやさしいカチョカバロ。
先ほどのエポワスと比べたら、白湯とスピリタスの差。
パルミジャーノが好きな人だったら、これは家に常備してもいいと思います。削ってパスタとかサラダに入れたらおいしいし、ちょっとしたおつまみになるし。日持ちもするし。価格もパルミジャーノの半額くらいです。
厳密にいうと味の違いがあるのかもしれない。けど、これはもうチェダーとかゴーダの見た目違いってことでいいのではないでしょうか。「今夜のディナー、全然ゴージャスさが足りないじゃない!」って奥様に怒られた時に。
山羊の中の山羊。どれだけ柔軟な精神で挑んでも、シェーブルチーズを食べると多かれ少なかれ後味の獣臭で「う」となるのですが、これは「うううう」となりました。でもおいしいかも。
イタリアのウオッシュなんて珍しいね。とかかっこつけて食べた記憶があるのですが、試食会後のメモには「クリーミー」としか書いてません。南斗さんがこれだけ絶賛するなら、もう一度食べてみようかしら。
見た目かわいかったです。でも食べたらちゃんと山羊でした。
マンステールがお好きだなんて、南斗さんと気が合います! 朝食によく食べてます。臭くてムカついて笑うんですが、旨い。これはさらに上位互換で、普通に売ってるやつとは違った。
ここまでチーズについてああだこうだ言っておいてなんですが、昔からある「いわゆるチーズ」はそこまで好きじゃなかったんです。チーズ味のものもそんなに。6Pチーズとかもそんなに。でもエダムはかわいい。
すごい名前。興味あるー。食べてみたい。
サイゼリヤでもおなじみペコリーノ・ロマーノ。単体で食べるとめたんこしょっぱいっす。サラダにかけると美味っす。
ブリア・サヴァランはおいしいバター! 異議なし。
焼いてもらって食べましたー。めちゃ親しみやすい味なのに、輸入物というのが敷居が高いすね。トーストで焼くだけキュキュキュチーズとかいってコンビニとかで売り出したら売れそうなのに。
山羊(シェーブル)苦手目ですが、これはおいしいと心から思えました。山羊は存在してるけど、遠くでこっちを見てる、って感じですね。しかしこの見た目。
ワイン一年生著者である小久保さんの話を聞いていて、一番食べてみたかったのがこのサン・ネクテールです。めちゃくちゃな味ながら、しいて表現するなら、ドロのついたしいたけのいしづきのような味でした。なので、ポルチーニ茸とか、個性的なきのこが好きな人だったらきっとハマると思います。でももう思い出せない味です。
人生で一番最初に食べた青カビチーズがこれでした。当時はどえらい臭いな、食べた口の中がどうにかしちゃったな、復帰できるかな? と焦りましたが、いま食べるとどうってことないやさしいチーズです。慣れってすごいですね。
比較的、気軽に買えるウオッシュだよ! 普通のカマンベールだと少し物足りないなー、でもそこまでパンチをもらいたくないなー、という揺れ動く気分のときにいいかも。
これよくスーパーで買えるし、値段も手頃で、食べやすくて、もっと人気が出てもいいかなーと思うのですが、あんまり知らない人はゴルゴンゾーラとかダナブルー買って、ちょっと知ってる人はロックフォール買いそう。
これもよくスーパーで売ってるの見ます。全然クセがなくて、カマンベールチーズに、ちょっと青カビ? みたいな印象。甘いワイン飲みたいな、ドイツワインかな? とかいうとき。
「65種類目」となってますが、たぶん「69種類目」ですね。ブルー・デ・バスク。知らないです。この世は知らないチーズばかり。
焼いて溶かして食べるのかしら? と思うような食感でした。ギョニソーのような食感で、味は普通っぽいのに、なんか奥深い感じで気になるチーズです。
これもめちゃくちゃな味だったと記憶します。キノコとか腐葉土感があって、園芸店の中心にいるような気分を味わえました。
この壱の蔵、食べたんですよ。酒粕みたいな味で、チーズというより酒粕だと思いました。衝撃でした。
ただただただ美味しいですよね。もしもいくら食べても太らなくて、胃もたれもしない身体を手に入れたら、永遠に食べ続けていることでしょう。
カルディで「スキクイーン」という名前で売られているのをよく見かけます。すこし塩味のきいた生キャラメルって感じです。この甘さにして砂糖を使ってないのが不思議。トーストの上にのせて、はちみつと一緒に食べたらおいしかったです。これだけスイーツ欲を満たせるチーズなら、ダイエットフードとして適しているのでは?
著者・小久保さんの人生を狂わせたという「コンテ24ヵ月」を超える、30ヵ月ものを食べましたよ。メモをみたら「うまいしかない」と書いてある。口に入れた後しばらく、脳にもういいよっていうくらい「旨い」の信号が届いてきます。
カマンベール以外に白カビが存在することをはじめて知ったのがブリ・ド・モーでした。
正直いって、いつも食べたいのはパルミジャーノ・レッジャーノです。口に出していいたいですよね? パルミジャーノ・レッジャーノ。もくもくじゃりじゃりずっと噛んでいたい。
これもスーパーでよく買えるブルーチーズ。味が賢い。毎日食べてるだけで教養が身につきそう。
食べたみたいですが、記憶にございません。
これはその、なんというか脱脂粉乳の味でした。懐かしかったです。
ここまでスクロールして偉い!
南斗さん、100品の完走ありがとうございました!
飲食のプロフェッショナルである南斗さんに、チーズ100種類が当たって本当によかったです。
おかげさまで貴重な記録になりました。
[今回紹介したすべてのチーズ]
そして数々の驚きのチーズを選びぬいてくださった
学芸大学のチーズ専門店のユーロアールさんも
本当にありがとうございました!
どのチーズもファンタジックで、
試食するたびに歓声があがってましたよ!
さて、ソムリエの方でも、
チーズプロフェッショナルの方でも、
ここまで多くのチーズを食べた経験をお持ちの方はいないのではないでしょうか?
こういう状況下じゃなかったら、
いっぱい人を集めて
チーズの回し食いパーティーをやりたかったなーと思います。
お寿司は大好きですが、
へたなお寿司なんかよりも、
チーズの一口の「味の衝撃」は凄まじいと感じました。
来年はパーティーできるといいですね。
それでは、良いお年を(⌒▽⌒)
(画像提供:iStock.com/Satoshi-K)