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さんちゅ/マイク
2020年8月28日 08:20
6. 翌朝、私は少し緊張して会社のドアを開けた。 いつも通りならば、遥佳はあと数十分後に出社して来るはずだ。やはり今日は気まずくなるだろうか? としても特に対処方法はない。結局は普通にしているのが一番いいのだ。私が変に意識すれば、彼女も困ってしまうだろう。 私はいつものようにコーヒーを入れ、パソコンに向かってメールのチェックを始めた。 しばらくして、ドアノブがカチリと回る。私
2020年8月21日 21:30
5.「かんぱーい」「お疲れさまぁ」 皆が口々に唱和する。一気に中ジョッキの半分ほどを空ける者もいれば、ショットグラスに口づけする程度の者もおり、各自気ままなペースで飲み始める。 ほぼ全員が健診を終えたその夕方、「とにかく飲みたい!」と叫び出したのは瑞穂だった。聞けば男性社員の中にも健診のために控えていた者が結構いて、すぐに五、六人が同調した。 瑞穂が来れば、必ず遥佳もついて来る。
2020年8月13日 22:01
4.「洋一さんの好きにして」と、遥佳が吐息のような声で耳元に囁き、私の首に手を回す。私は既に火照りを帯びた彼女の身体を自分の体内に取り込むかのようにきつく抱き締め、それからもう何も身につけていないその背中にそっと指先を這わせた。「あ」 と、小さく声を上げ、遥佳がピクンと身を仰け反らす。そのままちょっと目を閉じ、すぐに潤んで妖しげな輝きをまとった瞳を真っ直ぐ私に向けてくる。私はそれを正
2020年8月9日 16:25
大人のラブストーリーを書きました。以下、あらすじです。-------------- 桐洋一は、妻帯者であるのにいつからか同僚の三宮遥佳を夜ごと思い、自慰に耽っている。会社でもそのボディラインから目を離せず、一言の会話にすらに内心驚喜するほど。 あるとき、会社の飲み会では必ず遥佳が右隣を開けてくれているのに気づき、遥佳も自分のことが好きなのではと思う。 健診後の飲み会で偶然遥佳と二人
2020年8月8日 21:30
3. 株式会社ルビアは、社員総数五十名程度の不動産管理会社である。誤解されやすいが、土地や建物を売買したりするのではなく、アパートやマンションの管理や清掃、施設維持など、言ってみれば管理人の仕事を請け負う会社である。 ビルの二階と三階を借りきっており、二階には実際に管理業務を遂行する部隊、三階には営業と事務部隊が入っている。 私は庶務部総務課の所属で、三宮遥佳は経理課の所属である。席は離
2020年8月1日 21:16
2. 翌朝、私は傘を広げながら一人自宅の玄関を出た。通勤に少々時間のかかる私は、まだ妻と子が眠っている間に家を出る。 駅へ行く途中至るところにある畑では、キャベツや茄子が何週間ぶりかの雨を喜んでいるかのように艶やかだ。 借家だが、この閑静な雰囲気と自治体の育児サポート体制が気に入って、こんな郊外にもう九年も住んでいる。 都心まで延びている私鉄のプラットホームへ上がると、ほどなく始発