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日曜日の午後、東京行き片道切符
"じゃあまたね!行ってきます"
そう言って私は手を振りながら、
荷物を引き電車に乗り込んだ。
.
みどりの改札口を横目に
携帯をかざし私は改札を通る。
もうこの感じも慣れはじめているのだった。
年に一回乗るか乗らないかの乗り物は、
いつのまにか定期的に乗るものに変わっていた。
往復切符を紙で買っていた私は
もうどこにもいない。
.
その現実が無性に悲しくなりながら、
私は慣れた手つきで座席を整え、
あの街へと戻るのだ。
.
何年いようと帰る場所にはならないあの街へ
"私は戻るのだ"
、
行きっぱなしの毎日へと戻るのだ。
この感覚はどうにも消えない。
まるで私の故郷はあそこだけなのだと、
真の私はあの街にしかいないのだと
心の奥底で叫んでいるような気分になる。
、
だけどそんな風に思いながらも
私はむかうのだ。あの街に。
そんな理由簡単。
ただのプライドなんだと思う。
ちんけでちっぽけなプライド。
でも自分が生きていくための大事なプライド。
.
片道切符は私の決意
まだ帰らないと決めた私の小さなあがき。
流れる景色を横目に
私はまぶたを閉じた。
.
次の停車駅は東京。
私の日常がもどる。
さぁ、踏ん張るよ。