大学生がTHE YELLOW MONKEY復活ライブを見てきた感想文 ※セトリネタバレあり
約3年ぶり、ご無沙汰だったイエモン
1.ロビンの病と活動休止期間
母親の影響で再集結時(2016年)から虜になったイエモン。(胎児のときから聞いていたらしいが)最後に「THE YELLOW MONKEY」をこの目で見たのは2020年、コロナ禍。他バンドはまだ手探りだった時期に、率先して11月に東京ドームでライブを行い、その後も横アリ、武道館に(代々木は何かしらの理由で行けなかった)参加。翌年にはソロ活動はあっても、有観客のライブは行っておらず、ご存じのとおり22年の年明けにロビンの病が発覚。ボーカリストの命である部位でもあったためしばらく活動はなかった。(コーストの中止は本当に残念だった…)
私自身、どうしてもライブや新譜が出ないとそのバンドを聴く時間は意識なく減っていく気がしている。約3年間、少々ご無沙汰であったイエローモンキー。自分の中でレジェンドであったバンドは自分の中で少し距離が離れていった気がしていた。(もちろん療養は心の底から応援していた)
2.年齢層こんな高かったっけ
久しぶりに母親と連番のライブ。私ももう二十歳を超えたので、一昔前の恥ずかしさなどは一切ない。会場の東京ドームに着くと、再集結直後や19年のツアーのときにはそこまで感じてなかった「オーディエンスの年齢層の高さ」にビビった。前回のライブがほとんど高校生大学生だったgo!go!vanillasの幕張ファイナルだったからか。
少しの緊張感と共に、会場入り。座席は、正面の22ゲートから入り野球ならめちゃめちゃ高いエリアだったが、センターのステージからは最も遠い場所だった。
本人選曲であろうクイーンやヴェルヴェットアンダーグラウンドが流れる中、お馴染みとなった秒刻みのカウントダウン。毎回、ピッタリに始めるもんだから凄い。
そして18時30分。ついにカウントダウンは0となり、ライブが始まる。興奮もあったが、まずはロビンがこのライブを歌い切れることを願う気持ちの方が大きかった。
ついに開演
1.二人のキーボーディスト
暗転、SE。ライブのロゴが表示される。そして、二つのスポットライト。サポートメンバーである。
1人はお馴染みのKey.鶴谷崇さん。そしてもう1人。ハットを被った人物。遠目でもすぐにわかった。解散前、第一期のイエモンをキーボードで支えた三国義貴さんである。
年始のファンミーティングに帯同し、アルバム制作にも参加したという情報は得ていたが、まさか2人態勢でくるとは。
まず一番の衝撃とともに、DVDでしか見たことがなかった三国さんのパフォーマンスを生で見ることができるという事実に興奮した。
2.いきなりきたか
2人のキーボーディストに興奮していたら、いつの間にかメンバー4人が登場。歓声に包まれた。
そしてまもなく、聞き馴染みのあるピアノのメロディ。『バラ色の日々』である。
そうか、いきなりきたか。
2020年、声が出せない中「Sing Loud」という、録音した歌声を募り、ライブでそれを集結させリモートのような形で合唱する企画があった。その声は素晴らしいものであったが、あの頃のその場にいるのに歌えないもどかしさ。何よりも本人たちが一番悔しかったと思う。
でも今は歌える。事前の公式SNSにも2020年当時の映像とともに、「今度は、一緒に歌ってください」の文。我々も、吉井さんも、やっと声が出せる。ピアノのメロディとともに、5万人の大合唱。この曲がライブの一曲目にくることは今までなかったと思うが、今回はこれ以上にふさわしい曲はなかっと思う。合唱が終わり、吉井さんの「ビューティフォーー!!」の叫びとともにバンドが動き出す。
ああ、イエモン生で見てる。見れている。
そんなことを感じながら、ライブのタイトルにもなっている新曲「SHINE ON」へとつながり、会場のボルテージはドームながらも一瞬にして急上昇した。
3.声が出せる歓び
2曲終え、MC。溢れんばかりの歓声と拍手に包まれる。
「ヒット曲はあまりないけど、代表曲たくさんやります!」
と自虐というより嘘を交えつつ宣言するロビン。
そしてアニーのスネアからメジャーデビュー曲『Romantist Taste』、そしてライブ限定のコール&レスポンスのイントロがお馴染みの『Tactics』と続く。どちらも、オーディエンスが声で参加する曲である。
ライブで声が出せるようになってからは少し経つが、このバンドは事情が違う。あの頃、生きがいだった「ライブ」が悪者扱いされた。そんな中、このレジェンドバンドが率先してライブをし、感染者を出さず、ライブの価値を証明してくれた。コロナが明け、今度はロビンの病があった。
さまざまな壁が消え、声を出せる歓びを、この2曲で大いに感じた。
4.『聖なる海とサンシャイン』
いったん暗転。そしてエマのタッピングを交えた壮大なギターソロが始まる。キーボードかギターか定かでないほどの音色。そしてテクニカルなソロ。
ギターを弾く身からするとどうやってその音出してどうやってそれ弾いてんの状態。どの曲へと繋がるのか、期待感が膨らむ。
そして始まったのはなんと『聖なる海とサンシャイン』。私の中で強く思い入れがある曲である。まさか聞けるとは、しかもこんなに早く。
ロビン本人も特にお気に入りらしいこの曲をモノクロの背景の前で歌い上げる姿は、ロックスターとして、ボーカリストとして、超えるものはないと確信した。
なんだこれ、美しすぎるやろ。
5.興奮で一睡もできなかった61歳、ヒーセ
MC。バンドの平均年齢が58歳であることをロビンが告げると、最年長61歳のヒーセは申し訳なさそうな仕草。そして興奮で昨晩一睡もしてないことをカミングアウトされ、会場はどよめきと笑いに包まれた。
そして『BURN』、『ROCK STAR』、『楽園』、『SPARK』とキラーチューンを連発。『ROCK STAR』の腕振り、私のような令和のライブキッズじゃ確実にやらない動きである。(とはいえノリノリでやる)
イエモンが復活した。
やっと実感が湧いてきた。特別感は薄れ、いつものライブのテンションになっていた。
『SPARK』のサビ前で「Are you ready spark」叫べる幸せと興奮を、声を出して強く感じた。
6.イエローモンキーを支えるリズム隊
明転し、アニーのドラムソロが始まった。56歳とは思えない激しさと、細かさ。もはやアスリートの領域である。そして次第にヒーセが登場。ベースソロが加わる。ヒーセ。先述したが御年61歳。私の父親より年上である。なのに、この美しさと力強さ。
それぞれのソロはあっても、リズム隊2人のセッションは初めて見た気がする。
やはりイエモンのサウンドが唯一無二であり続けるためには、
ヒーセの豪快なベースとアニーの繊細なドラムが必要不可欠であると再認識した。
そして、気がつけば新曲『ソナタの暗闇』のイントロに。ビジョンいっぱいに表示された単語が、歌われるたびに光っていく演出。さらに再集結後イチのブチアゲナンバー『天道虫』、エマがアリーナの中心まで移動しお立ち台でソロを引き上げた『太陽が燃えている』と続き、会場のボルテージは最高潮に。
MCを交えつつほぼノンストップで続いたライブは、ここでいったん区切られた。
人生の終わりに向き合うロックスター
1.苦しいVTR
VTRが始まった。
内容は、ファンからしたら目を背けたくなるようなもの。ロビンの病の発覚から治療、武道館講演中止の決断などのドキュメント。
ロビンと、メンバーの想い。アニーは「ロビンはショーの神様に愛された人だから必ず戻って来れる」と信じていた。
エマの「同世代でそういう病気をする人も多くなってきて…」という言葉から、ここ1年で何人もロックスターがこの世を去ったことを思い出した。
再集結、そしてコロナ禍を経て、バンドできる喜びを感じた。今度は「バンドの存在」を噛み締めるフェーズなのかもしれない。
バンドの終わりが来る前に。それは2001年の活動休止時とはまた違った意味で。バンドは永遠ではない。現実を突きつけられ、じゃあ今どうするか、「今」を大切に前を向き続けるメンバーの姿に心を打たれた。
2.『人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)』
VTRの終盤。桜の映像とともに、『人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)』のイントロの音源が流れる。
やめてくれ、今そんな曲流したら感情がぐちゃぐちゃになってしまう。
音源はすぐに鳴り止んだ。よかった。いや違う。次の曲だ。
気づいたときにはVTRは終わり、エマのギターの音がなっていた。
紛れもなく『人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)』である。会場は大きなどよめきと歓声に包まれた。
FOR GRANDMOTHERとある通り、この曲はバンドの全盛期に、おばあちゃん子であったロビンが祖母に向けて書いた曲(当時に亡くなったとか、レクイエム的な意味ではない)とされている。
若い当時に「死」と向き合う、「人生の終わり」なんてタイトルの曲を残しているのがまず仰天だが、
今それを歌い、それを聴くと、さらに一つ一つの歌詞が大きな意味を持つように感じた。
「僕は死神に気に入られた旅人」
「青い空は無責任」
「僕が犯されたロックンロールに希望なんてない」
「血が泣いてる」
あまり歌詞を考察したり深掘りするのは好きじゃないのだが、あまりにも意識せざるを得ない。
VTRの中で「死ぬことに対する恐怖は無くなっていってる」と語っていた。ロビン本人は、この曲をどういった気持ちでセットリストに入れたのか。
夢中で駆け抜けていた時代に残したこの曲。そして今。変わったこと、変わってないこと。それは本人しかわからない。
会場の全員が様々な想いとともに過ごしたこの曲。
間違いなくこのライブの一番のハイライトであったと感じる。
3.二十歳を超えて感じる『SUCK OF LIFE』
少々重たくなったが、すぐにその空気はスネア2発で変わった。
お馴染み、『SUCK OF LIFE』である。この日一番の手拍子が鳴り響いた。
ロックスター吉井和哉はまだまだ続くんだ、安心していいんだ。
恒例のイントロでマイクスタンド振り回すロビンを見つつ、そんな雰囲気があるようにも感じた。
いつもの間奏でのロビンとエマの絡みも展開。久しぶりに見たけど際どすぎるやろ。もうソレにしか見えない。そして歌詞。前回のライブや
中学高校生時分では感じなかったことを感じた。
すんごいこと歌ってる。同性愛の歌。でっかなイチモツベイベーってなんやねん。
3年という月日で私も少し大人になったのか。今私は青春を終えようとしているが、その分大人の恋愛が分かるのも悪くないのかと思った。
さらに「愛とはあなたのため」と、個人的にイエモンの楽曲では一番ライブでアガると思ってる『LOVE LOVE SHOW』が続く。珍しくロビン、歌詞が怪しかった笑
4.人生の割合
MC。「人生の7割は予告編で、残りの命数えたときに本編が始まる」という歌詞を紹介。「若い方もいるかもしれませんが一緒に本編を生きていきましょう」と新曲『ホテルニュートリノ』へ。
弱冠21歳の私。置いてかれている。いやどうなのか。普段友達と会話をしていて、「死」と向き合うことはほぼない。人生の割合。仮に80まで長生きすることができるとしても、20でもう1/4が終わっているのか。
そうか。今からめちゃめちゃ長い本編になるのか。はたまた、7割生きてからこその本編なのか。それは30年後までわからない。
イエローモンキーは、吉井和哉は、どんなものでもラブソングにできると思っている。
先ほどの「人生の終わり」も、「生死」に対するラブソングだと思っている。
ロビンからは「人生の愛し方」を曲や生き方を通じて学んでいるような気がする。
『ホテルニュートリノ』で本編は一旦終了。アンコールの手拍子。
普段ならこの時間が無駄だと思っていて早く出てきてくれと思ってるが、今回に関してはじっくり喉を休めて欲しいと思っていた。
アンコール
1.これからもよろしく!
しばらくして明転。アコギを持って出てきたロビン。
アンコール、アコギ。Emのコードを弾き始めたら犬小屋、Dならブギウギからのアバンギャルド。マニアになるとここまで考えてしまう。
Dコードが鳴った。そして久しぶりの「東京ブギウギ」。しかし歌詞は以前のお下劣なものではなかった。朝ドラもやったし、コンプラかなぁとか思いながら、例によって『アバンギャルドで行こうよ』につながる。
「2⚪︎0万枚(数字忘れた)売り上げる予定だった名曲」と言うロビン。当時のインタビューなどを見ると、本当にその心意気だったらしいが。
この曲を聴くと年末感が出る(メカラ・ウロコの定番曲のため)。「(今年の汚れは)今年のうちに」と曲の最後で叫ぶ箇所は、「これからもよろしく!」に。
どこのタイミングのMCかは忘れてしまったが、ツアーの開催も仄めかしていた。これからまたイエローモンキーのライブが見れる日々が戻ってくるのだ。
そして、復活といえばこの曲『ALRIGHT』を挟み(未だに再集結ツアーの青いペンラ持ってきてる人すごすぎる)、『悲しきASIAN BOY』へ。
いよいよ最終盤である。大きなビジョンにいつもの「THE YELLOW MONKEY」の文字が。
これぞロビンというパフォーマンス、そして本当に楽しそうに奏でる楽器隊。
アウトロでアニー以外の三人が隊形を組むとこ(語彙力)が大好きなのだ。
2.ロビンの声、そして大歓声の『JAM』
そしてMC。
「改めて外野センター付近のステージに立って会場の広さと、野球選手が飛ばすホームランの凄さを感じた」とロビン。
「すっごいアドレナリン出た、このファンの完成は宝物とかいうレベルじゃない、これのためにやっている。」
久しぶりにステージに立ち、ロックスターの血が騒いでいた。
同時に、特に何もなくここまで演じ通せた安堵感的なものも少しだけ感じた。
しかし、やはり声は万全の状態ではないことは素人の耳にもよくわかり、ところどころ苦しそうな部分は感じていた。
もっと苦しい状態であることも、ファンとして覚悟はしていた。
でも、3時間というワンマンでも長めの時間を歌い切った。
歌声はいつも通り綺麗なのに、MCや普通の喋り声の方がガラガラだったり、ハスキーなところがあった。不思議だ。
「Thank you, good night」と、満を辞して『JAM』へ。
この曲のイントロで起こる拍手と歓声が好きだと以前ロビンは語っていた。
久しぶりにオルガンのメロディーとともに起こる大歓声と拍手。圧巻だった。
「こんな夜は逢いたくて 逢いたくて 逢いたくて 君逢いたくて 君に逢いたくて また明日を待ってる」
不安な夜には逢いたい人がいる。逢いたい音楽がある。
今日という日を待ち続けた5万人の大合唱が、ドームに響き渡った。
3.「我がイエローモンキーは永久に不滅です!」
メンバーが退場し、再び暗転。
来月発売のアルバムに収録される、『再会の日』と思われるMV(と言ってもロビンが正面を向いて歌うだけの映像)が流れた。歌詞も映し出された。
イエモン曲では珍しい曲調で、少しソロ時代の雰囲気を感じさせられる(Shine and Eternityのような感じ)個人的に大好物な曲だった。発売が待ち遠しい。
ここで終わりかと思いきや、再びメンバーが登場。
アコギをもったロビンが、今度はEmのコードを弾き始めた。
「ようやくこの言葉が言える気がする、我がイエローモンキーは永久に不滅です!Welcome!」
東京ドームといえば犬小屋。『WELCOME TO MY DOGHOUSE』。
これをやらなきゃイエモンの東京ドームは締まらない、因縁の曲だ。2001年の活動休止前最後の東京ドームは最後の曲に、2017年の再集結後最初の東京ドームでは1曲目になった曲である。
興奮のまま、曲が終わり、写真撮影へ。アニーは例によってドラムの空間から解放されステージを縦横無尽に駆け巡る。
そして終演。約3時間の熱演だった。
俺、この人に憧れて音楽始めたんだった
1.自分の中の「レジェンド」
いつ、何がきっかけでとか考えたこともなく、音楽が好きだった。バンドが好きだった。
その中で思春期に、幼少期の頃BGMとして流れていた吉井和哉の音楽を聴きなおした。衝撃を受けた。憧れた。吉井和哉になりたくて、ギターを始めた。
好きなバンドに順位をつけることはあまりしたくないが、自分の中の「レジェンド」といえばこの人たちだった。
それを再確認できたライブだった。
2.今後のTHE YELLOW MONKEY
「声が治ったら、今度は2Days」
とロビンは言っていた。ヒーセは3Daysやるとジェスチャーしていた。
今日のドームが、見切り発車の状態に近かったことも仄めかしていた。
ツアーも検討中とのこと。
ファンにできることは、ロビンの完全回復を願うことと、待つことだけだ。
とにかくまずは、一ヶ月後に出るアルバムを楽しみに待つこととしよう。
「おじさん」になってもカッコいいは余裕でクリアしている。
「おじいさん」になってもカッコいいバンドであり続けて欲しい、そう強く感じた一夜だった。
※細かいMCのニュアンスなどは異なってる場合があることをご了承ください。