見出し画像

退職予告。

12:00
駐車場へ車を停めて、ドアを開ける10秒前に思いついて上司を引き止める。そろそろ、仕事を辞めたいので辞めさせてもらえますか?

あまりにも唐突に切り出したので、上司は
「ちょっと、ラフすぎひん?」と助手席で笑う。

もうちょっと、ちゃんとした方が良かったですか?精一杯の、申し訳ないフリをした。

「せやなぁ、でももう会議の議題に上がってるしなぁ。もうじき辞めるやろなって。」

先見の明があったんかい。
よく13連勤して1日だけ休むを繰り返しているので、もう退職予備軍としてリストに上がっていたらしい。話が早いですねと期日を決めにいく。

先約が何人もいたようで、私の退職は再来年の春になるとの事だった。これぞ、ブラックの極み。
総務に早速上げておくと言われたので、ほっとする。総務に報告されないまま、退職を3年引き延ばされた先輩を知っているから。

「ごめん、俺もメンタルが強くない方やねん。
さすがにな、悲しいからな。
もう少しタバコ吸って帰るわ…」

上司に鍵を渡して、車を後にする。

13:30
職場のトイレ掃除をしていると、同じ建物の銀行員のお姐さんが耳打ちしてきた。

「もうじき、仕事辞めるとか考えてたりする?
株式会社〇〇の奥さんが、あんたを事務で雇いたいって言うてるんやけど…。奥さんと、親友やねん。」

あそこ、優良企業ですよね。辞めるのは後になりますが、詳しくお話を聞かせてください。

噂を聞いたんだろうか。上司はタバコ休憩から帰ってきていない。落ち込みすぎ。

私の転職活動は、1時間半で終わった。
つま先が軽い。

最後まで読んでくださりありがとうございます! 今日も良い一日を過ごせますように!!