上司(男性)が子連れ出勤した話。
「私用で遅くなります。」
職場で一番偉い上司が、朝礼に遅れた。
あれ、どうしたんだろう?
そんな疑問を持ちながら待っていると、
10時頃に出勤した。
出勤してきた上司は、子連れ狼にしか見えなかった。
険しい面持ちで入ってきた上司の腕の中に、2歳になったばかりの息子。
そして、アンパンマンのぬいぐるみ、おむつのバックも持ってきている。
「今日から3日、俺が子守り。」
その瞬間、めっちゃ理想の父やんと職場全員が思った。
まんま!まんま!と言う息子を応接間の椅子に座らせ、お菓子を食べさせる。
上司は席について、仕事を始めた。
ぼりぼり、ぼりぼり
父の働く空間で、ゆっくりとじゃがりこを噛み締める2歳児は、社員たちをひとりずつ凝視している。
視線を感じた社員たちは、堪えきれなくて笑みが溢れる。
ふふ
狭い職場を、アンパンマンのぬいぐるみと共に探検する。デスクとパソコンと段ボールしかないが、きらきらと目を輝かせて、社員達の近くへ行く。
(きっと、2歳児からすると大冒険である)
「こら、危ないよ〜」
すぐさま止めに入って座らせる。
次は椅子に登って、机の上に立つ。
悪い笑みを浮かべて、とても楽しそうにしている。
ここは、お父さんが築いた優しい空間。
今まで女性社員のほとんどは、結婚を機に辞めていた。誰もが働きやすい環境を作るために、色んな場所で頭を下げ、他の支店に先駆け業務をクラウド化した。
セキュリティやパソコンの問題を解決させ、
会社で初めて、部下の産前の在宅勤務と、その後の産休、育休の許可を得た。
そして、介護や通院などの理由でも、時差出勤を可能とした。その結果、部下の信頼は上がり、上司自身も気兼ねなく保育園の送迎などが出来るようになった。
取引先の社長が事務所に訪れ、「子供連れて来たんか?ええなぁ!」と漏らす。
知らないおじさんが来て、怖がると思いきや、2歳児はバイバイと手を振っていた。
それぞれの人生に寄り添う職場を作り上げた上司。
ずっと、この人の元で働きたいなぁと思ったのでした。
最後まで読んでくださりありがとうございます! 今日も良い一日を過ごせますように!!