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読書ノート5 高橋憲一 著 「よみがえる天才5 コペルニクス」 (ちくまプリマ―新書) ★辛口
まず,文体について.ちくまプリマ―新書は,「その道の専門家が、わかりやすくかみ砕き、しかもワンテーマで伝える入門書」(http://kaze.shinshomap.info/interview/edi…
雑記帳 その5 エイリアン:ロムルス
グロい映画の代表格である.映画館で,お隣にいたカップルは,最新作のあまりのひどさに途中退席してしまった.しかし,私個人は,第一作から欠かさず映画館で観ており,恥ずかしながら第一作の特別版BDも買ってしまった.今回も,「エイリアン:ロムルス」も爆音で見てきてしまって,これを書いている.
舞台は,スーパーアースらしいリング(字幕では小惑星帯)を持つ鉱山惑星である.中心星に近いために潮汐による加熱で
雑記帳 その3 大人になること
ちひろ美術館・東京で「いわさきちひろ ぼつご50しゅうねん」の企画展が開かれている.
嵐の過ぎた午後に,やさしい絵の中にみえる心の強さは何なのだろう,ということを思いながら展示を巡った.作家のアトリエが再現されている常設展示には「大人になること」というパネル展示がある.これは以前も見ていたはずなのだが,今回,「この人は戦争で身も心も灰になったところから立ち上がってきたひとなのだ」ということに
雑記帳 その1 はじめに
私の好きな画家の一人に松本竣介という洋画家がいます.戦前から終戦直後にかけて,耳が聞こえないというハンデキャップを持ちながら油絵を描き,「ニコライ堂」や横浜の陸橋を描いた「Y市の橋」などが代表作です.私のお気に入りは,青を基調に線画で街を描いた連作です.松本さんの青は本当に美しい.私が若いころに,倉敷の大原美術館で出会い,以来ファンになりました.
「雑記帳」は,松本さんが,第二次世界大戦が始ま
読書ノート5 高橋憲一 著 「よみがえる天才5 コペルニクス」 (ちくまプリマ―新書) ★辛口
まず,文体について.ちくまプリマ―新書は,「その道の専門家が、わかりやすくかみ砕き、しかもワンテーマで伝える入門書」(http://kaze.shinshomap.info/interview/editor/05/01.html) というのがキャッチフレーズですが,若い人向けに「わかりやすくかみ砕く」ことと,おじさんが上から目線でなれなれしく語るというのは違うような気がします.「ざんねんながら,
もっとみる読書ノート3 柄谷行人 著 「世界史の構造」 (岩波現代文庫)
柄谷行人によるマルクス社会主義理論の再構築の試み.
「交換様式A, B, C, D」「ネーション,ステーツ,キャピタル,アソシエーション」といった独自の用語が,定義されることなく展開するので,著者の著作を系統的に読んでいる人でないと理解が難しい構成になっている.
共産主義革命や,ソビエト連邦や中国などの社会主義の破綻の原因を分析し,カントの考察を交えて,マルクス史観を交換様式という観点か
読書ノート2: ガリレオ・ガリレイ「偽金鑑識官」山田慶兒・谷 秦,訳,中公クラッシックス
自然のしくみについて仮説を立て,そこから演繹される説明について,実験観察により検証する,という仮説演繹法とその検証という方法は,近代自然科学の基本となったものである.仮説の真偽を完全に証明することが難しい場合でも,検証を繰り返すことで,仮説の信頼性を高めることができる.現代に追加するならば,検証の延長として,追試も仮説の信頼性を高める上では重要である.
これを,明示的に使い始めたのはガリレオで
読書ノート1: 高木澪子著「心の科学史」,講談社学術文庫
p. 38: 近・現代心理学の思想史的前提となる物心二元論の枠組み(内と外,もしくは自と他の峻別)は,科学革命の進展に伴い霊物プネウマが死物化して,すべての自然が<物体>とその機械的運動とに還元されおわった時,そのような「自然」の中に収まりきらない<心>が「個人の意識」として改めて定義しなおされることによって成立したものと筆者は考えている.
p. 112: (結論的に言えば)学問の歴史を学ぶこと