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【5年ぶり、山口英一先生95歳、矍鑠と!懐かしい再会】
コロナ後の一時帰国3回でやっと日本側の4年分の事務手続きの処理が終わり、東京出張する時間が取れました。
一番に会いに行ったのは、私が理事長を務めるNPO法人 Layer Boxの副理事長を引き受けてくださり、アイキョー・インターナショナルの代表取締役を務める山口英一社長です。私もこの会社の取締役の一人です。
山口先生にはホーチミンでのご報告と、日本側のNPO法人をたたむ旨をお知らせに、いつもなら他のNPOのメンバーと一緒に、新宿で飲み会をするところ。
昨年階段で転倒され、その後リハビリを続けておられ、外出されることが困難ではないかと思い、ご自宅にお伺いすることにいたしました。
お伺いすると奥様は施設にいらして、先生はご子息たちと一緒に暮らしていらっしゃるとのことでした。
お顔の色つやも良く、物につかまらずに二足歩行もしておられ(さすがに外出は厳しいようでしたが)、少し安堵いたしました。
そしていつものごとく矍鑠とした口調で、最近の世界情勢から日本の政治にいたるまでひとしきり分析と解説をされた後は。
慶応義塾大学経済学部を卒業されてから法務省入省。法務省保護観察官として触法少年、受刑者の面接審査にあたられた話。
その後、民間企業に転じて日立ハイテクノロジーや日鉱金属商事でカラーテレビ、新幹線、新金属材料等の研究開発、さらにレアメタル、非鉄金属等の素材の開発研究に従事。
その後、フォード中央研究所で世界戦略を狙いとして環境の研究等に携わり、さらに、海外技術提携、開発研究等を手掛けるため、東邦商事の関係会社としてアイキョーインターナショナルを設立し、カナダはじめ、米国、インド、ヨーロッパ等を中心にユニークな海外コンサルタント活動を行ってこられた話など、滔々とお話になられました。
また国際開発学会正会員、国際地方開発援助アカデミーロシア正会員、国際生産工学アカデミーロシア正会員でいらして、「シベリア鉄道国際化推進委員会委員長」として、米ロ協働による「シベリア鉄道」拡張計画に参画していた話など。5大陸にまたがる予定路線地図やプーチん大統領への手紙など拝見させていただきました。
日本でも東京からロンドンまで鉄道で繋ぐという構想が、メディアの記事で紹介されていましたが。
結果は皆様もご存じの通り、2008年のリーマンショックによりアメリカ側の数兆円規模による投資は凍結、中央アジアを横断する鉄道は、中国の「一帯一路」計画に取って代わられております。
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と、ここまで一時間、ぶっ通しでお話になり。私にとってはもう何度お聞きしたか分からないお話ではありますが、毎回寸部違わず、またスケールが大きく、何度お聞きしても面白いお話ですので、最後まで拝聴しておりました。
「ところで、今、お仕事はどうですか?」
と尋ねられ、
「ホーチミンで日本酒の普及で相変わらず店をやっております」
と答えますと。
「ああ、やっぱり、そうですよね」
ここまで一時間もお話になっておられて、私が誰だかお分かりにならなかったようです(苦笑)
そういえばアポのお電話のときも「月森です」「どちらの?」というやり取りがあったような。
少しお耳が遠くていらして聞き取れなかったのかも知れません。
昨年6月にベトナムから出した手紙に即、おはがきでお返事いただいておりますから、私がどこの誰だか分からないということはないでしょうし、記憶もしっかりしていらっしゃいますから。
5年の歳月は長いということでしょうか。
それはさておき、95歳になられても世界情勢と時事に強いご関心を寄せられ、毎日、新聞の切り抜きをしつつ(そのスクラップが391冊も!)、出版社や新聞社からご依頼の原稿を書いていらっしゃるようです。
そして幕末の「歴史の一ページ」からある重要な人物の手紙を引用し、今の日本の政治を痛烈に批判する原稿を執筆中だそうです(こちらは私、初耳です)。
たいへん勉強になるとともに目からウロコでした。
さらに初耳と言えば、一人の非行少年を更生させようとするボランティアの女性が、次第に少年に愛情を抱くようになる…映画「踏みはずした春」(1958年製作。「BBSの女―わが愛のすべてを」 (1957年) 藤口 透吾著、参考)にも、保護観察官として登場。山口先生の役を二谷英明さんが演じていらっしゃるそうです。
監督は何と、私の大好きな鈴木清順さん、主役はこの映画が監督と初顔合わせとなる小林旭さん、他、左幸子さん、浅岡ルリ子さんなど。
久々にご自宅にお伺いしたからでしょうか、「ちょっと待っててね」と自室に戻られ、古い紙質の赤茶けた映画の脚本とベースになった小説本をすぐに持ってこられました。
話の流れで出して来られただけなのに、すぐに必要な資料が出てくるところがすごい。怪我をしてから会社に通えなくなって、すべての資料をご自宅に移されたということで、その関連書籍、資料、おびただしい量にも関わらず。
さらに(株)五感教育研究所代表取締役社長でもあられるので、五感と老後の健康、認知症などの関連性にも取り組んでいかれるとのこと。
「まあ、いつまで生きるか分からないからね。やれることはやっておきたい」と笑いながら、いつも未来を見据えていらっしゃるご様子に、若い私の方が多くの元気と勇気を頂戴いたしました。