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鼻から出た鬼火

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ハロウィンのスイーツのチラシなど目にして
そういえば
昔読んだアイルランドの物語で
聖人を手玉に取り悪魔をハメて何度も大金持ちになった挙句に死んで天国はもちろん地獄でも入るのを断られて鼻から火を噴きながら沼や湿地をさまようようになってしまった悪党がいてそれが will-o’-the wisp 鬼火なのである、というのがありましてな。
情報量が多いw
これは
「ケルト幻想物語」W・Bイエイツ編 井村君江編訳 ちくま文庫
に載っている「三つの願いごと」という話だが普通に想像する「三つの願いごと」より「悪い杜子春」みたいな濃い話なのでちょと読んでみてもいいと思いますぜ。
で、ナンで英語で鬼火が will-o’-the wisp なのかというと
この悪党の名前がビル will で
乾草の小束 wisp のような「もつれあご髭」があるからなのだと。
この o’ は of なので直訳すれば「もつれあご髭のビル」ということになる。
ジャコランタン Jack-o’-lantern の o’ ですな。
さらに、ナンで沼や湿地をさまよっているのかというと
「鼻を冷やすため」
これは「沼地や湿地で鬼火が見られるのは沼地のメタンガスが燃えたものだから」というより面白い。さすが物語でござる。
アイルランドでも沼や湿地で鬼火がよく出るのだろか。

今でもビルは夜の沼地で不注意な旅人がいれば道に迷わせるとか
できるだけ多くの人々に一杯食わせたいと願っているという
なんともすっとぼけた話なのでござる。