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本当は弱いオオカミと山姥のお話

「オオカミと七匹の子ヤギ」をはじめとして
留守番をしている子どもたちをオオカミや山姥が食べようとする昔話はあちこちにあって
侵入者と子どもとのやり取りがはらはらどきどきさせるものだ。
子どもたちにとって安全な場所である家の中に
どうにかして侵入しようとして
優しい声を出したり、手を白くしたりと、あれこれ策を弄するうちに
一生懸命に防御していた子どもたちもついに騙されて侵入を許してしまう。
コワイですねコワイですね
オオカミや山姥が弱い子どもを狙うなんて卑怯ですね
って、ちょと待てよ?
まずは母親を食べちゃえば楽じゃないの?
子どもだけになるのを待つってことは
オオカミや山姥は
母親よりも弱いってことなのでは?
だからこそこそと大人のいない・留守を狙って
自分より弱い子どもを狙うのじゃあるまいか。
もしも
自分が母親で
オオカミが子どもの待っている家の中をうかがっているのを見たとしたら
背負ってきた荷物を投げ捨てて
山刀引き抜いて振りかざし
オオカミの頭叩き割らんと鬼の形相で走っていく、と思う。

ここでマジになって考えると
オオカミはホントは群れで狩りをするものだ。
群れから外れてしまっているのがいわゆる「一匹狼」で
一匹ではそうそう獲物が手に入らない。
だから人里離れた家の留守を狙うのか。
山姥は、実は姨捨(うばすて)の生き残りで
白髪はざんばら、爪は伸び放題で、すきっ腹を抱えて
そりゃあ眼も血走ることだろう。
やっぱり人里離れた家の留守を狙うしかない。

あー、ナンか切なくなってきたでござるよ。