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夜狐が尾をうつ

読書
勉強

ようやく見つけた ♪

ここで紹介した「狐は尾を撃って火を出す」の文を探すために
アマゾンのジャングルへ飛んだ-じゃなくてw
図書館から東洋文庫の「酉陽雑俎1-5」を借りてきたのでござる。
全部で5冊あってそれなりの分量なので少々時間がかかったが
見つけましたぜ ♪

「酉陽雑俎3」東洋文庫 平凡社
巻十五 28B 諾犀記下 鬼神妖怪の記録 下

五七七 
むかしからのいい伝えによると、野狐(やこ)は、紫狐(しこ)という名である。夜、尾をたたくと、火が出る。妖怪になるときは、かならず、髑髏(どくろ)を頭にのせて、北斗にお辞儀をする。髑髏が、おちなければ、人間に化けるのだ。

これって別に骨の燐から火が出たハナシではないよね。
狐の毛に起きた静電気の火花のように思えますな。
「夜」と断るくらいに、暗くないと見えないような暗い光だと思うし。
もしかして鳥獣戯画の狐の尾が燃えている場面の元ネタはこれかもしらん。
「不知火・人魂・狐」で神田左京も
黒猫を夜背をなでるとぱちぱち火花が出ることがあって
これは摩擦によって起こる電気だ、と記している。
そういえば
子どもの時に、寒い冬に暖かい厚手のシャツをもらって
夜に喜んで着ようとしたらバチバチッとスゴイ火花が散って痛かった。
確かに暖かいシャツでそこは嬉しかったのだがアクリル製だったのだろう。
隣の居間の光が細く差している薄暗い座敷だったので
青白い光の線が見えてホントにビックリしたがとにかく痛かった。
北国の冬の室内は乾燥していたというワケだ。
これが静電気の放電現象であると知るのはもうちょと後のことだ。
さてそこで
この「酉陽雑俎」の著者は段成式で成立したのが西暦860年前後のあたり。
不思議な話もたくさん載っているが
それだけにとどまらず動物の事植物の事風俗風習故事等々
耳目によって知るだけで書籍には載っていないことも拾って記録したという
まさに唐代の百科事典といえる。
この本は「狐が尾を撃って火を出す」一文を探すために読み始めたのだが
まあ面白くて面白くてすべて紹介できないのがホントに残念で。
結構な分量だが、「1」の著者の序文と「5」の年表、解説だけでも
ホントに面白いのでぜひ手に取って読んでいただきたいと願うのでござる。

段成式曰く

読書をしない人は、夜道を行くようなものだ。
髪が少なくなった老人も、うら若い書生に負ける。(十一巻 広知)

そうそうそうそうそう ♪
そしてまた段成式曰く

怪異譚こそ小説の書である(序)

みんな、怪異譚大好きだよね ♪
だから種々様々なところで引用されて・伝えられてきたのだろうと。
しかし忘れてならないのは
怪異は語るが煽らず必ず典拠をつけている、という段成式の姿勢だ。
怪異は語るよ淡々と。