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エスカレーターの正しい乗り方

コミュニケーション
実用

名古屋ではこの10月1日、エスカレーターに立ち止まって乗ることを義務付ける条例が施行されたのだとか。歩行中につまづいたり、高齢者らに接触して転倒などのリスクがあるからと。ただし、罰則はない。
ちなみに名古屋では、「左側」に立って歩くときは「右側」という慣習があるそうだ。奇しくも札幌も同じである。
さてそこで
名古屋でこのような条例ができるくらいに
イマドキはエスカレーターは片側を空けるのというのが常識になっていて
実は自分もそうだと信じていた。
しかしこの20年ほど
ひどく混雑して乗り場で人が詰まってしまっているのに
エスカレーターには片側にしか人が乗らず
不合理な使い方をしているな、と思うようになってきた。
そうだ、2008年のコミケ会場で事故があった。
上りのエスカレーターが逆走して乗っていた人たちがけがをしたのだ。
エスカレーターにぎっしりと人が乗っていて、重さに耐えきれなかったとか。
その折り、エスカレーター業界からは、乗り過ぎに注意、とともに
エスカレーターを歩いたり・片側にだけ乗ると機器に負担がかかるので
並んで乗って・歩かないでほしい、とのことが表明された。
が、ご存じの通り、いまだに片側に乗っているし
急ぐ人は空いた方を歩いて、時には駆け昇っていて
歩かないでください、というアナウンスが空しく流れている。
一度、空いている方に立ってみたら
後ろから歩いて上がってきた人に罵声を浴びせられてしまったよ。。。
思い起こすと
30年以上も前、オトナの常識を身につけようと
「ドタンバのマナー」サトウサンペイ著 昭和(!)57年 を読んだ。
例えばレストランでのマナーなど、通り一遍に説明するのではなく
テーブルクロスの有無や、入口に案内係が立っているかどうかで
それぞれの「レベル」を見分けて対応すべく説明があったりで
マンガでわかりやすく大変に親切な書き方をありがたく感じたものだ。
で、その本にはエスカレーターの乗り方も載っていて
そこには「先進国は左をあける」とあったのだ。(おや、日本では逆か)
その時に、そうか、そういうものなのか、と納得して
子どもにもそう教えてきたのである。
エスカレーターの片側を空ける乗り方がどのように始まったのかは不明なようだが常識として広まったのはこの本の存在も大きかったのでは。
何しろ文庫本が出るくらい売れていた。
というわけで、ベストセラー本で広まったことなら
「エスカレーターの本当に正しい乗り方」も広められるのでは。
一旦常識になってしまえばみなさんそうするはずなので。

改めて、エスカレーターの乗り方について考えてみた。
歩くと危険、というのは「廊下を走らない」というのと同じで
ましてやこれが「動く階段」なので
転倒したり、挟まったりすると(ひーーー!)
廊下での接触・転倒事故よりも格段に被害が大きくなる。
さらに、エスカレーターの場合には
歩いたり走ったり、片側に重さが偏ったりすることで
機器に余計な負担がかかって故障の危険性が増す
ということではないか。
故障の回数が増えれば余計な整備費用が掛かるばかりでなく
いきなり停止したり逆走したりしたら被害は大きくなるだろう。
おおきな危険をはらむエスカレーターの故障につながる行為は
危ないからという以上に
ならぬものはならぬと、厳に禁止すべきだろう。
元々片側通行は、混雑の解消というより駅や空港で急ぐ人のために
だったと思う。
エスカレーターを片側1列で使えば、先を急ぐ人は得をするが
急ぐ人のために急がない人と管理者が事故と経費の増加に付き合わされる
というのはおかしなハナシなのではないか。
日本の駅の場合は、降りた人でホームが一気に混雑するから
エスカレーターでは急ぐ人を優先するより
混雑の緩和を優先した方がいいと思う。
結論として
時と場合でエスカレーターの利用者に片側か2列かの判断を迫るより

並んで乗る
歩かない

というルールにしてしまった方がいいのではないか。
今の「ルール」はもしかして
「ドタンバのマナー」で書かれた「先進国では左側を空ける」の
「先進国」という言葉に釣られた結果ではないだろか。