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使えないタオル

実用
コミュニケーション

片付け動画や親戚の片付けでおなじみの
現在90歳代あたりの方々の家に溜まっている「贈答品」。
真っ黒なホコリをかぶった箱に入ったままで積み上がっている。
これは自分も子ども時代に目の当たりにしたことだったが
昭和40年代にはごく普通の家庭でも贈答品の応酬がありましてな。
職場の上役だとか仕事関係の人だとか親戚だとか仲人さんとか
お中元とお歳暮の季節にはたくさんの品物が届けられ
受け取っては「あら、ウチで送ったのよりいいのが来た!」だとか
「あら、来ちゃった!」だとか大慌てで
別の所から届いた品物の包装を破いて包み直してどこかに送ることもw
あと、結婚式の引き出物も、ってことは
身の回りに結婚する人たちがたくさんいたワケだ。
頂きモノは大体タオルとかシーツとか調味料とか缶詰とか化粧石けんとか。
中でも扱いに困るのは豪華な刺しゅう入りの厚手のタオルだった。

刺繍が大きい!
タオルなら色々に使えそうなものだが
あまりに厚いと浴用には洗いづらく・絞りにくく
枕カバーにすると顔に擦れて痛いし
手拭きタオルにするとゴツイ刺繍が邪魔して拭きづらく
そもそもハデハデの刺繍が入っているだけで使いにくい。
どうにも眺めるしか使えないシロモノで
結局トイレで予備のトイレットペーパーを入れるホルダーに。
高級タオルのなれの果てでござるw
というワケで
あの時代は人々がこぞって使う以上のモノを
それも普段使いではない・特別仕様のモノを買っては贈り合っていたのだ。
物のない・ガマンガマンのツライ戦争の時代をくぐりぬけて
高度経済成長の大波に乗り遅れまいと
モノを買って満足し・よそ行きをいただいては勿体ないとため込んで
豊かな気持ちになって安心していたのだろうなあ、と。
実用より「見た目」重視で
そのくせセンスが追い付いていなかった昭和40年代50年代だった、と思う。