見出し画像

心地よさの花かご

読書

昔々、殺伐とした文章に埋もれていた時期があった。
そこを這う這うの体で逃れた後
のどから手が出る思いで音楽を聴き、本を読んだ。
とりあえず図書館に行って手に取ったのは
「星条旗の聞こえない部屋」リービ英雄 著 講談社 と
「新宿の万葉集」リービ英雄 著 朝日新聞社
日本経済新聞の文化面で見ていたのだと思う。

読んでいくと
焼け焦げて干乾びてしまった自分にしゅわしゅわと音を立てて
おいしい水が滋養とともに浸み込んでいくようで
ああ、うまい、うまい、と全身が喜びに震えていた。

書店に並んでいる本というのは
お客さんにおいしく食べてもらうための料理なのだ、とわかった。

いい文学は人生の糧になるだとか、文学に救われた
などということを今まで何度も見聞きしてきたが
本当に文学、というか人の書いた文章に
そんな力があることを初めて体感したのである。

この本は改めて書店に注文して今は私の本棚に収まっている

ということを思い出したのが

オラシオさんのnoteの記事で

雑誌「小説すばる」に読み切りエッセイが載ったということことで
書店で取り寄せて、初めて手にした雑誌のページを開くと
まあ、なんという心地よさ ♪
そうだ
読者を楽しませるために書かれた文章というのは
こんなにも心地よかったのだ、と。

この雑誌は
読み切りの他いくつもの「続きモノ」小説が詰め合わせになっていて
私はこれまで大抵の作品は単行本や文庫で読んでいたから
こういった少しずついくつもの作品を読み進めていくという形態は
大昔にSFマガジンを読んで以来だったのだ。
ちょっと考えると・続きモノだから
途中から読んでも筋がわからなくて面白くないのでは?
と思ったが、いやいやいやいや
これが、大丈夫なのだなあ。
だって、それまでのあらすじはちゃんと書いてあるし
その小説の雰囲気にすうっと入りこんでいけるから。
ああ、これがモノカキの力なのだなあ。
それに加えて、この軽さ ♪
厚さ22㎜なのにiPadよりずっと軽くて手になじむ。
一日に一話、二話ずつ読んで味わっては、余韻を楽しんでいる。
月刊誌のペースというワケか。

肝心のオラシオさんの「夢見るお皿」はとても個性的で
ちょと目が覚めた気がした。
題材も展開も面白いなあ。
オラシオさんの紹介が無かったら
「小説すばる」とは出会えないでしまったと思う。
出合いを作ってくれたオラシオさんとnoteに感謝。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?