ぬえの鳴く夜
小さな怪奇現象
昔々のある夏、森でキャンプしたとき
夜がふけてから
ひー … ひょー …
と、高く澄んだ音が聞こえてきた。
一瞬、鹿笛かと思ったが音が違う。
それよりもリコーダーに似ている。
それがあちらから聞こえたり・こちらから聞こえたり
右から・左から・遠くから・近くから
音は間を空けて森のあちこちから・違う場所から聞こえてくる。
誰かが笛を吹いて歩いているのかと思ったが
それにしては足音がしないし時間が長すぎやしないか…。
もう10時を過ぎている…。
夜行性の生き物でこういう「音」をたてるのはナンだろかと
調べてみるとこれはどうやらトラツグミで
別名「鵺(ぬえ)鳥」
不気味と言えば不気味・悲しげといえば悲しげな声で
夜、姿の見えないままにこの声を聴いたら
そりゃー…化け物と思うのも無理はない。
暗くなったら外に出ちゃいけないよ
ぬえが来るからねえ。。。
と言われたら、子どもでなくても外に出たくないだろう、と。
しかしもちろん
トラツグミが鳴くのは人間を怖がらせるためじゃない。
不気味に思ったり怖がったりするのはあくまでも人間の勝手なのだ。
そして声の正体を見た人は
なあんだ、鳥かよ!と思ったに違いない。
そう思うのもまた、人間の勝手なのだ。
ちなみに
夜の鳥と書いて「鵺」
案外昔からその正体はばれていたのだろう。おふふ
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