本当にあった怖い話
これは、本当にあった、怖い話です。
老後のために若い頃からひたすら倹約した人がいました。
美味しいものも食べず
素敵な服も買わず
旅行もせず
焼き鳥屋にもカラオケにも行ったことが無く
テレビは映らなくなるまで
冷蔵庫は壊れるまで使い
危ないから買い替えたらと言われても
ついたり消えたりの湯沸し器をだましだまし使うような
そんな生活を強いてきた夫が90歳を越えて亡くなって
気が付けば
残された妻はすっかり年をとっていて
ご馳走を食べようにも食べられず
どこかに旅行しようにもろくに歩けず
美容院に行くのも面倒になっていて
どんな服を買っていいのかも分からず
目が辛くて新聞も本もろくに読めず
読んでもナンのことやら理解できず
テレビを点けてもしゃべるのが早すぎて
字幕はあれよあれよと流れていって
ナンのことやらさっぱりわからないままに
いつも一人
テレビの大音量に埋もれてぼんやりしている
「オレが死んでも大丈夫なようにしてあるからな!」
と夫が言っていた通り
確かにお金は貯まっていたんだそうです。
普通に
介護施設に入れるくらいに。