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ポプラの綿毛

北海道の初夏はポプラの綿毛がふわふわと飛ぶ季節である。
昔、大きなポプラの木々に囲まれて外仕事をしていたことがあった。
ムシムシして雨が降ったりやんだりしていた日
ちょっと陽が射すと真っ白な綿毛が飛び始めた。
いや、まったくの無風だったので
綿毛がボタン雪のように落ちてくる。
そのうちまたしょぼしょぼと雨が降りだすと
雪は、ぱったりと止む。

作業現場はバスケットコートくらいの深いプールのような場所で
その周りを大きなポプラの木々が黒々と枝を繁らせて覆いかぶさり
そこから射しこむ細くまぶしい木漏れ日の
光の帯の中をいくつもの綿毛が白く輝きながら
ゆっくりと糸を引くように落ちていき
鉛直という言葉が頭に浮かんだ

それはもう、この世のものではないような―

晴れ間と湿度が演出した幻想的な風景だったが
仕事中で撮影できなかったのが本当に悔しい。

鉛直に 柳絮を惹ける 地球かな