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羊と欧州経済史

勉強
読書

昔々、羊毛で糸を紡いだりフェルトを作ったりし始めたとき
図書館で羊の本を検索していたら
糸紡ぎや染色、フェルトの本にまじって
「近代欧州経済史入門」
という本がヒットした。
へ?
羊と一体何の関係が?
好奇心でとりあえず借りてみた。(文庫本だったし)

「近代欧州経済史入門」大塚久雄著 講談社学術文庫 1226

開いてみると、もともとは昭和11年(!)に書かれたものが
専門外の人にも好評だったことから
色々加筆修正して昭和24年に出版されたものだという。

読んでみると、これがこれが非常に面白い。
貨幣経済の話だけではなく
経済活動が産業や歴史とともに流れていくのが
まるで映画でも見るように述べられている。
なるほど専門外の人にもよく読まれたというのがうなづける。(うんうん)
(で、買ってしまった。)

そして、なぜ羊の本を検索していてこの本がヒットしたのかわかった。
近代のヨーロッパを語るのに羊は決してはずせない「産業」だったのだ。
つまり、毛織物工業がやがて資本主義を作り上げていくわけだ。
毛織物はやがて綿織物に主役の座を譲るが
例えばスペインの大航海時代の活躍を支えたのは
羊と毛織物だった。

いや、それにしても
「羊」を検索してこの本にヒットする設定にしてくれた方に感謝である。
それでなければこの本には巡り合えなかったかもしれない。
私が初めて歴史と産業、経済は切り離せないことを知ったのは
ひとえにこの「近代欧州経済史」のおかげである。
さらに
一緒に何冊かの羊関係の本を読んだことで
羊と人間の長くて深ーい関係が見えてきて
今まで身近にあっても知らなかった大きな世界を
また一つ知ることができたのだ♪
その後
いい歳になってから近所の大学の科目等履修生となって
博物館学の展示実習をすることになったので
「さわれる展示」をやりたくて・実現させた。
テーマは「羊の世界」
羊という家畜と人間の歴史を身近に考えてもらえるようにしたかったのだ。
刈り取って洗っただけの
コリデールやサフォークやメリノなどの毛を展示して現物にさわることで
質感も粗さも品種によって違うことを実感してほしかったし
ニオイだって感じてほしかった。
感想でくそみそに書いてきた見学者もいたが
「ふわふわ・モシャモシャの羊毛にさわったのは初めて!」
「これが糸になるなんて、不思議!」
という見学者がたくさんいて
それなりのインパクトはあったから、ヨシッ。