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「優しい」マニュアル

コミュニケーション

高齢者用の携帯を便利に使っている。
スマホも考えたが、出先でネットにつなげたいような場面はそうそう無く
そもそも高いし重いし電池も食う。
何よりオーバースペックなのだ。
さて、このマニュアルの表紙には「かんたんガイドブック」と書いてあって
見ると、わかりやすさを追求したスタッフの涙ぐましい努力がしのばれる。
原則見開き1ページで1つの説明が完結するようになっていて
イチから順に噛んで含めるような説明である。
介護施設のスタッフが大きな声で、ゆっくり、はっきり
優しく話しかけるのに似ている。

厚さは普通の携帯マニュアルと同じくらいだが
内容量はほぼ10分の1くらい。
それは、字が大きい、図も大きいからで、とにかく、見やすい。
老眼をいたわってくれているのも有難い。

もし操作を間違えても
このキーを押せば戻れますよ、と言うメッセージがそこここに。
「ほら、こわがらないで」という励ましが聞こえてくるようだ。
間違えることを恐れ続けてきた人間に実に優しい。
さて、高齢者向けと言っても
ターゲットはおそらく団塊の世代あたりではと思う。
ワンセグも使えるし海外でも別契約で使えるような
「行動するシニア」を想定した作りと見た。
しかし実は年齢に関係なく
オーバースペックに嫌気が差したガラケー愛用者も使っているのでは。
バッテリーは4日で残量半分くらい。
だから余裕を持っても充電は4日に1度くらい♪
ネットは家のパソコンで見る、という人には最適だと思う。
さてそこで
この高齢者用の携帯マニュアルを目にして
驚いて感動してナニやらうれしくなったのはなぜだろう。
普通の携帯のマニュアルと大きく違ったからなのだが
その違いとは?
まずは分量。
高齢者用の携帯は、そもそも機能が必要最低限なので
マニュアルの内容も少ない。
それに加えて高齢者は
■新しいことを一度にたくさん覚えられない
■一度に処理できる情報量が少ない
■気力・集中力が続かない(あきらめやすい)
といったことから
普通のマニュアルよりも知りたい情報が探しやすく・理解しやすい
そういう作りになっているのだろう。
しかし
高齢者じゃなくても
一度にたくさん覚えられるのか?
一度に処理できる情報は多いのか?
気力・集中力は続くのか?
で…そんなに頑張りたい人ばかりなのか?

多分、だから、「普通の人」は
マニュアルで知りたい情報を探すより
いじって覚えるとか知り合いに聞くとかネットで探すとか…になるのでは。
その一方で
普通のマニュアルは
まるで相手を無視して一方的にしゃべりまくる営業のような…
何だろうと普通のマニュアルにももう少し、ですね
高齢者向けのマニュアルのような心遣いがあってもいいのではないか。
この違いは
相手に向ける「愛」の違いに見えるのでござる。