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排水管が詰まったハナシ

昔々酷寒の地に初めて住んだときのこと。
それは、あの怪音が響いた家でのことだ。

ある時台所の排水が上手くいかなくて、どこか詰まっているのだろかと
家の前の下水のフタを開けてみたら下水の横に穴が開いていて
それがちょうど台所の真ん前で、どうやらここが排水管の出口らしい。
棒で突っついては見たが、狭い下水の流路の横に穴があるので
長い棒はつっかえて入らない。

困っていると職場の人が道具を貸してくれた。
いわゆる「ト-ラー」という、ワイヤーの先にらせん状の金具が付いていて
それを突っ込んで手動で回転させて掘り進めようと。
だがしかし
一生懸命手で回しても、どっしりとした粘土のような手ごたえはあるものの
ナカナカ先に進まない。
らせん状の金具に白っぽい粘土状のナニかが詰まってしまって
何度も出しては先っちょの詰まりを落として・何時間か頑張ったが
どうにもらちが明かない。
これじゃあだめだと、ついに家の前を掘って排水管を出してみることに。
下水溝に開いた高さで、配水管はごく浅く埋まっているのは確かだった。
(あ、トイレは汲み取り式だった)
で、ほどなく姿を現したのは、今どきはほぼ目にしなくなった
土管であった!
いや、素焼きの土管じゃなくて、釉薬がかかった陶管だったように思う。

そこで力づくで1本ずらして持ち上げてみると

中身がびっちり!!
古い油に細かい台所ゴミが混ざった、まあなんと申しましょうか。
これじゃあ手に負えないのも当たり前!!
で、管を持ち上げて地面に先を軽く落としてみると中身が出てきましたな。
割と柔らかめでモロモロしていたのでほぼすべて出すことができた。
これを3本分やった、と思う。
勾配は…取れていたのだろか?
ほぼ水平だったような気もするが、詰まってしまった理由は
そこが酷寒の地だったからなのではなかろうか。
地面に浅く埋設された管は冬になると冷え切って
台所の排水は流れたとたんに凍結してしまったことは想像できる。
流すたびに凍って詰まって流れて行かなくなって
当然ゴミも油も流れなくて、特に油はあまりの低温に固まってしまう。
ようやく春になって氷が溶けても油とゴミの混合物は取り残されて
あのように管の中にびっちりと溜まってしまったのではと。
その翌年、何となくまた出してみようかと管を掘り出してみたらば
やっぱり中身がびっちりで、これは構造的に無理なのだなあと思った。
勾配がゆるすぎるのと深さが浅すぎるのと、だよね。
戦後そう経っていない頃に建てられた住宅であった。