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年末年始におススメの経済の本
読書
勉強
自分の懐の事だけじゃなくて、もっと大きな視野で経済を考える
そういう時の一助になるかなという本を3冊。
1冊目は以前ここで紹介した本。
「ヤバい経済学」
レヴィット・スティーヴン、ダブナー・スティーヴン 著
望月 衛 訳 東洋経済新報社
身近な事でも経済という視点を持つことで、大分変って見えるものだ。
2冊目は
「善意で貧困はなくせるのか?」
ディーン・カーラン、ジェイコブ・アベル 著
清川幸美 訳 澤田康幸 解説 みすず書房
「問題を解決するには善意だけでは不十分」
世界の大問題である貧困に「善意」でどう戦っていけばいいのか?
最善の解決法は善意だけでは見つからない。
残念ながら多くの市民運動に欠けている視点がここにはある、と思う。
著者らは数学の知識と調査の力を駆使しながら18か月かけて世界を巡り
この本を明快な文章で書き上げた。
今、現実的に解法を求めている人はもちろん
何となく募金はしている、という人たちも
ちょと立ち止まってこの本を読んで
現実的な考え方や手立てについて思いを巡らせて欲しい。
3冊目は
「経済政策で人は死ぬか?-公衆衛生学から見た不況対策」
デヴィッド・スタックラー、サンジェイ・バス 著
橘 明美、臼井美子 訳 草思社
著者のデヴィッド・スタックラーは政治学と公衆衛生学の専門家で
サンジェイ・バスは医師で予防医学の専門家。
この二人がおびただしいデータを掘り起こして
政府の予算編成や経済政策の選択がその国民の生死、病気への抵抗力、死亡リスクなどをどう左右するのかを調査した結果
経済には
■人々がアルコールを暴飲するようになる
■ホームレスシェルターで結核に感染する
■うつ病になる
といったリスクを高めたり低めたりする力があることを明らかにした。
特に、不況下における緊縮政策が
大多数の国民にとって不幸な状況を作り出していると警鐘を鳴らしている。
例えば、アイスランドもギリシャも深刻な不況に陥ったが
アイスランドは就業支援と福祉の予算を増やして乗り切ったが
ギリシャはとにかく予算を削りまくって悲惨な状況に陥った、という。
お金が無ければ使わなければいい、という単純なハナシではない。
福祉や教育予算を、人を育て・支えるところを切り落としていくのは
あたかも空腹のタコが自分の足を食べるようなものだ。
それでは後が無い。
本当は新たに食べ物を見つけるべく動き出さねばならないのだ。
それが投資というモノで
多くの目が曇った投資家のやっていることは投資ではなく投機ではないのか。
「健康にとって本当に危険なのは不況それ自体ではなく無謀な緊縮政策である」
「国にとって最も重要な資源は国民である」
人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり
どの本も実際にどうなっているのかを調査して数字で暴いているので
そのミもフタもないところが無慈悲でありまた快感である。