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怪談のでき方

小さな怪奇現象

知り合いの職場の近郊に「出る」というトンネルがあった。
あるとき、職場のアホな若い連中が肝試しに。
そしたら、「出た」のだと!
トンネルの奥に白いものがふわふわと動いていた!
ので
悲鳴を上げて逃げてきたと。
休み時間にその話で盛り上がっていたところ
聞いていた同僚の一人が
「あ、それ、自分です。」と。
夜のトンネルの中で大きな白い補虫網を振り回して
照明に集まる「蛾」を採集してたのだと。
ご丁寧に白衣まで着ていた虫オタクであった…。
「そういえばこの前、なんか大きな声が聞こえました。」(爆笑)

こうやって怪談は発生するという
いわゆる一つの、事例ということで。

何かのウワサのある場所で何かが起きる。
たとえそれが何かの偶然で、説明のつくことでも
幾分の面白がりとともに
怪異な出来事として「納得」されてしまう。
あるいは、何かが起きて
「そういえば」と、昔のいわれや事件・事故が「思い出され」て
今の出来事と結びつけられ
現代でもまだまだ科学では解明されていないことがたくさんある
ということで片付けてしまう。
っていうか
現代では科学で解明されていることもたくさんあるんですが。

さてそこで
どうしてお化けは怖いのか。
もしかして
怖がると、何かいいコトがあるからでは?
と考えてみると
正体の分からない、つまり普通じゃないモノ・コトに
むやみに・不用意に近づくのは危険だからでは。
今でこそ、細かいことにはこだわらない
「おおらか」な性格が「イイコト」のように語られるが
しかし、大多数の人が安全な都市生活を送れるようになる前は
生活の中には今よりたくさんの危険があり
用心しなければならなかったはずだ。
例えばウチでは
子どもを連れて山に入るときには
ウルシやイラクサ、マムシ、スズメバチなど
触っては・近づいてはいけないモノを教え
親から離れてはいけないコトを教えた。
うっかり子どもが「赤いウルシの葉」に触ったときには
「大変だ大変だ」と大騒ぎして、水筒の麦茶を手にかけて洗って
「これは大変なことなのだ」と思い知らせた。
※実際には秋に紅葉したウルシでは、ほぼかぶれない
※「ほぼ」だからな!
とにかく、「てらてらした三つ葉のツル植物(ウルシ)」は危険だと。
怖がる・臆病であることが身を守る。
昔は怪我をしたり病気をしたりすることは即、命に関わることだった。
だから、昔の人口ピラミッドはその名の通り、三角形だったのだ。

お化けは普通じゃない。(多分)
だから怖い・怖い方がいい。

だがしかし・ちょっと待て!
人間は知恵を使って・知識を積み上げて・ここまで生きてきた。
どんな危険があって、何に注意をすればいいのか
長い長い年月の間に
たくさんの犠牲を払いながら危険に対処する知恵を積み重ねてきた。
だから何か分からない、普通じゃないモノ・コトを前にしたとき
いたずらに怖がるばかりでは
知識と知恵を積み重ねてきたご先祖様に申し訳ないではないか。
知識と知恵を持った人間らしく
分からないモノ・コトと向き合いたい。

それでもお化けはコワイけどな。

ちなみに
ホントに怖いことが起きたら、どうすればいいのか?

以前テレビで
夜半に天井裏を歩き回る足音がして
調べてみたら「犯人」はハクビシンだった、というのがあった。
狭い隙間から天井裏まで入りこんでうろうろしていたらしい。

そこで思い出したのが自分の「恐怖体験」。
20歳のころ、屋根裏部屋に住んでいた。
すると午前2時か3時か、屋根裏で人がゆっくりと歩くような音が
みしり…みしり…と聞こえてきた。
私の部屋は平家の屋根裏を一部仕切って部屋にしたものだったので
壁の向うはそのまま屋根裏になっていて
足音(?)はそこから聞こえてくる。
「そいつ」は屋根裏をゆっくりと時計回りに「歩いて」いて…
だんだんこちらに近づいてきて…またゆっくりと遠ざかっていく。
これが延々と続いた。
部屋の壁、低い天井近くに屋根裏をのぞける小窓がついてはいたが
もちろん、そこを開けて見るどころか布団をかぶったまま動けない。
結局明け方までそれは続き、いつの間にか音が止んで
恐怖にくたびれ果てた自分は眠ってしまった。

翌日母に言うと、母も聞いたと言う。
母が寝ていたのは足音の真下の座敷である。
「お父さんはいびきをかいているし」
「怖くて怖くてお題目唱えているうちに寝ちゃった」(呆)

足音の主は結構な重さがあるはずで
そうすると太った猫くらいの身体のはず。
しかし、外から屋根裏に入れるようなすき間はない(はずだ)。

その後、私が家を空けていた夜にもう一度この足音が聞こえたという。
そのときは父が目を覚まして
「だれだっ!!」と一喝したら音は止んだのだそうだ。
以来その足音は聞こえず

とっくの昔に実家は取り壊されて今は無い。

あれは一体なんだったのだろうか?

普通の怪談話ならここで終わるが
もしまたこんなことが起きたらどうするかは決まっている。

「警察に通報する」

不審な音には正しく対処しましょう。
怖がるだけでは解決しません。(キリッ)
(不審者が屋根裏に侵入して住み着いていた、などという事例も)

私を震え上がらせたあの時、おそらくは
床下から壁のすき間を猫が上がっていったのだと考えている。
ネズミは時々出ていたから。

きっと、そう!