梅干しはなぜ干すのか
今年は3年ぶりに梅干しを漬けたのだが
そもそもなぜ梅干しは干すのだろか?
というワケで
ホントは農学部の図書室で食品加工関係の本を探したかったのだが
何しろコロナがねー、というワケで
やむなく特捜班はネットの大海に飛び込んだ!
すると「日本海水学会」の
「ウメ加工品の加工方法と品質」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/swsj/67/4/67_196/_pdf
を見つけた。
これによると
ウメの実を塩漬けにしてから干すのは
濃縮による塩分濃度調整のためだという。
基本的な製造方法として
ウメと、ウメの重量の18%の塩を混ぜて漬けると
漬け上がりの塩分濃度は15.3%になり
これを乾燥開始時の70%まで乾燥させると塩分濃度は21.9%となり
ほぼ飽和の塩分量となる。
この塩分量と4~5%の有機酸のために梅干しは超保存食となる。
天日での乾燥は乾燥以外に光による果皮色の赤色化も行われるためである。
ふむふむ
そゆことでしたか。
ネットに出てくる梅干しの情報は手作りの梅干し関係が多いせいか
色付けのため以外は日光消毒のためということばかりで
いや、ちょっと
あの塩分とクエン酸以上に固形物を日光消毒できるのだろか?
と思っていたので
塩分濃度を高めるという理由に納得できたのである。
自分としては色よくするための天日干しなので
そこまで乾燥させない
っていうか
雑菌の巣窟である本州の夏に腐らせないためには
限界まで塩分濃度を上げる必要があったのだな、と。
で、今は健康のために塩分は控えましょう、となっているし
冷蔵庫もあるから
主流が脱塩して調味液に漬けた「調味梅干し」になっているのだな。
もし、梅干しと言うか梅漬けを本州で作るなら
基本涼しい場所で・冷蔵庫で保存することになるのだろか。
北海道でウメの14%の塩で漬け込んで
天日干しは1回か2回、時にはしない作り方でも
カビたことが無いというのは
漬ける前に手と容器を清潔にして
ウメに焼酎をまぶして雑菌の繁殖を抑えたから、だけじゃなくて
ここが冷涼な北海道だから、だと思う。
改めて
そうか、梅干ってホントは乾いてるんだー (お笑いくだされい)
しかしながら自分にとっての梅干しは母が漬けていた
しっとりと柔らかい梅漬けである。
だから
昔々初めてカチカチの梅干しを見たときには驚いた。
夏に東京近郊の下宿先でおばちゃんが朝食時に出してくれた梅干しは
グラニュー糖のような結晶化した塩をまとった固い梅干しで
強烈にしょっぱくて酸っぱかったのだがむやみと美味しくて
激烈な本州の夏には確かに必需品だと納得した。
何しろ驚いたことに
濃い色の服を着ていると夕方には脇のあたりに白い輪染みができていて
まあそれは「塩」だったワケだ。
大量にかいた汗が乾燥しては目に見えるほどの塩を服地に残すのである。
道民にとっては驚愕の事象であった。
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