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段ボール堆肥のぶっちゃけ話

実用

ゴミが減量できるなら、段ボール堆肥をやってみようかな?
という方のために
自分の経験から書いてみる。
まず必要なものは段ボール・じゃなくて
場所だ。
がっちりした段ボール箱(ミカン15キロ用くらいの)を置くことができて
かき混ぜて世話をしてやれる空間が必要だ。
そして、その空間は
段ボールの中で色々な菌が活動できるだけの温度が保たれる必要がある。
あと、台所からあまり遠いと、生ゴミを入れに行くのが面倒だから
台所の中か、隣接した場所にあるのが一番楽だろう。
だがしかし、ベランダはお勧めしない。
寒い季節は微生物にも寒すぎるのと
雨が当たると段ボールがふやけて破けやすくなってしまうし
カラスが荒らしにくるかもしれないし
外だから、ニオイが出たとき・虫が出たときに気づかなくて
隣近所に迷惑がかかるかも。

使う段ボール箱にはある程度の大きさと強度が必要で
その目安が「ミカン15キロ入る段ボール」というワケだ。
そして
生ごみを微生物が食べて生きていくためにはある程度の湿り気が必要で
そしてまた、生ごみが分解されるときには「水」が生成される。
そういうワケで
中身は常に湿っているので、薄い段ボールではもたないのだ。
段ボールが利用されるのは、手近にある容器というだけでなく
大きさ・強度の割りに軽いのと・紙の間に空間があることで
適当に水分を逃がしてくれる利点があるから。
次に
箱を床に直置きすると底が蒸れて破けやすくなるので
床から浮かしてやる必要がある。
そこで、段ボールの余りなどで短い筒を作って足にしてやるといい。
経験上、3か月でミカン15キロが入るくらいの箱が一杯になって(6人家族)
そのころには段ボールがボロボロになってくるから
そうなったらもう、新たにゴミを入れないで
別の場所に移して1日1回底から中身を混ぜてやるようにすると
中身が微生物に食べられていくのと・乾燥するのとで
次第にカサが減ってくる。
ここから大体1か月で段ボール堆肥としては完成。
こうなるとほぼニオイもしなくなりガサガサした腐葉土のようになる。
庭に埋めるにしても人にあげるにしても捨てるにしても
この段階までやってから、とすべし。

さてそこで
「ニオイが出たとき・虫が出たとき」というのを読んで
いええええ~((((^。^;)
と思った方もあったのでは?

元が生ごみなので、微生物の働き方によってはいくばくかのニオイはするが
台所で生ゴミを放置しておくよりはずっと臭くない。
一度、結構生臭くなったことがあるが
それは、大量のサンマを一度にさばいたとき。
さすがに生臭くなってきたので、もみ殻燻炭を追加して・しのいだ。
ただ、サンマの内臓は高カロリーなので
微生物が盛んに食べて・盛んに熱を出したとみえて
翌日フタを開けたら、もああああっと湯気が上がった。
ハイカロリーの生ごみはよく発熱する=微生物がよく働いている、のだ。
逆に、野菜の皮などのローカロリーの生ごみを入れてもあまり発熱しない。
繊維質は微生物が食べるのに時間がかかるのだ。
だから、分解しにくいものは、なるべく小さく刻んで投入することだ。
キャベツの外葉や芯などはザクザク切ってから投入した方がいいが
コーヒーかすやお茶がらなどはそのまま入れても大丈夫。
で、むしろ
段ボール堆肥をちょとやってみたい、程度の方には
まず、コーヒーかすやお茶がら、果物の皮でやってみれば?、と。
それなら5リットル程度の箱やバケツでできると思う。

やって見たいけど・どうしようか、という時は
一番いいのは実際にやっている人の所に行って見せてもらうことだ。
「良い加減」「こういう感じ」というのは文章にすると結構長くなって
読んでいると、やる前からくじけてしまいがちだから。
(あ、これは味噌つくりでも同じだな)

さて、虫の方だが
虫の発生はなぜ起こるかと言うと
“無から湧く”ワケは無くて、おそらくは野菜の外葉や根に付いてきて
捕食者のいない段ボールの中で大量に増殖するのだと思う。
で、どうやって防ぐかと言うと
高温にすればいい。
堆肥の熱が40度以上あると虫もそうそう生きて繁殖はできない。
ただ、先にも書いた通り、大量の熱を出そうとすると
ハイカロリーの生ごみを入れる必要があるのだが
生ごみが野菜中心だと“ぬるい“ので虫が発生するかも、というワケだ。
ちなみにハイカロリーの生ごみというと
油もの(揚げ物のカス、古い油、肉の脂身など)
甘いもの(古くなったお菓子、果物の皮など)
魚の内臓等で
一度揚げ物のカスを入れたら見事に発熱した。
微生物にだって、食べやすいものがあるのだ。

さてここから本題。
これまで自治体などが補助金付きで段ボール堆肥を推進してきたが
イマイチ浸透していないのはなぜだろか。
もちろん、これには理由があってだな

一番は、場所の問題だと思う。
ある程度の広さで・寒くなくて・雨が当たらない
という場所が「二箱分」要る。
一つは毎日生ごみを入れていく段ボールを置く場所で
もう一つは3か月経った段ボール箱を仕上げて・乾燥させていく場所だ。
イマドキは庭付きの一戸建てよりもマンション住まいの方が多いと思うので
作る場所も生かす場所も無いのでは。
次に
キャベツの芯などは刻んでから入れる、といったひと手間が面倒。
どうも段ボールが温かくならないし中身がいつまでもそのままなんですが
というので見に行ったら
置き場所が寒い上に野菜の芯丸ごとや大きくて固い外葉ばかりが入っていた
ということがあった。
そして致命的なのが
そもそも土を触るのが苦手、という人。
平気で土を触れない人は腐葉土でも堆肥でも抵抗があって
頑張らなくちゃと思ってやるのでは苦行になってしまう。
あ、あと
段ボールの工作が苦手な人。(私は大好き♪)

おそらく
初めての人が段ボール堆肥に抱くイメージは
生ごみを段ボール箱にポイポイ入れる → 勝手に堆肥になる
なのではないか。
なのに・思ってたのと違う!
こんなに面倒だとは思わなかった!
挙句に
せっかく「苦労して」作った堆肥の使い道が無くて捨てるしかないとか
そりゃあ、減量できたのだからいいのだけど、なんだかなあ、と。

自分としては・段ボールで堆肥を作るということは
「生ごみを微生物に食べさせて・結果として減量する」である。
あくまでも“結果”として“堆肥”になるもので“肥料”を作るワケではない。
エコでなくちゃイケナイから!
段ボール堆肥を作って生ごみを減量しなくちゃ!
と、頑張って・無理してやることではない、と思う。
マンション住まいの人も多いことだし。
生ごみの減量法は他にもあるし。

結論として
段ボール堆肥を楽しめるかどうか、ということなのでは。

何を面白いと思うのか
何を面倒と思うのか
人それぞれに違うから。


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