2013年のこと①
2012年の暮れは本業と副業で多忙を極めつつ、年末のあれやこれやも相まって慌ただしく過ぎていった。しかし生活はとても充実していて、とにかく楽しかった。大晦日は10年ぶりに実家で年越し蕎麦を食べ、紅白を見ながらダラダラと酒を飲んでへらへらしていた。物心ついた時からの大晦日に過ごし方で、大人になって変わったことはそこに酒が加わっただけだ。子供の頃も何となくワクワクしていたが、酒とともに過ごす大晦日も楽しかった。こういう時間が欲しかった。
元旦も親戚が集まっての宴会で、ハレの日のご馳走と少し高いワインや冷酒を痛飲しながら脱力しっぱなしだった。小さな祝祭がここもあった。こんな日が続けばいいと思いながら酔いつぶれて眠った。
さて、正月休みも終わり日常が始まった。仕事始めとともに資格を取るための講座も始まり、仕事後に通学する生活がこれから続く。資格試験は6月中旬。それまでに週4日のペースで学校へ行くことになる。授業は19時から21時半まで。とにかくうつ病は治った、やる気も満々ということで最初から飛ばしに飛ばした。昼間は仕事、夜は学校、そして帰宅後も日付が変わっても復習と、どれだけでも頑張れる。目標の資格を取ってステップしていく。そのつもりだった。
そんな生活が4か月続いた。
しかし5月に入ったあたりから調子が崩れてくる。
まず肩こりがひどく肩から首のつけ根の痛みに悩まされた。そして眠りにくくなった。入眠がうまくいかない。血圧も高い状態が続いた。たまらず内科へ駆け込んだ。病院では睡眠導入剤と筋弛緩剤が処方された。先生からは、仕事や勉強中の姿勢が悪いのでそれに気を付けること、また枕を低反発のものに変えると肩こりの改善につながると言われたので、枕を変えた。
薬と変えた枕のおかげで、肩こりは少しずつ改善していった。この時はこれらの症状がうつ病再発のサインだったとは全く考えていなかった。単に長時間にわたる姿勢の悪さ故の症状だと思っていた。とにかくうつ病は治ったと思い込んでいたので、これらの症状とうつ病が結び付かなかった。
体の症状は軽減した。しかし次はやる気が削がれていくような感覚に陥った。それでもうつ病再発を疑わなかった。こんな状態のまま、ダラダラと勉強を続けた。資格を取ることに対する執念も消え、ただ早く試験が終わって解放されたいと思うだけだった。
そして試験の日を迎えた。全然できなかった。しかしそんなことはどうでもよかった。3時間の試験を終えた後は久しぶりに自然な眠気がやってきて、ホテルのロビーにあるソファで眠ってしまった。もうしばらく勉強しなくていい、そんな安堵感に包まれてとても心地よかった。
2か月後の真夏の暑い日、合否の結果が届いた。当然落ちていた。