はじめての役、白雪姫の七人の小人役
30年以上も前の話である。小学校に週1回クラブ活動という時間があって、私は1年間、演劇クラブに入っていた。
その時に発表したお芝居は「白雪姫」
私はそこに登場する七人の小人たちの一人を演じた記憶がある。セリフが1つあるか、ないかぐらいのその他大勢の役だ。
確か希望してこの役にしたのだけど、セリフが覚えられなくてトチるのが嫌だから、セリフの少ない役にした。
ちなみに小学高学年の私は、どちらかというとお調子者。
授業中にふざけたり、お喋りしすぎて注意され、廊下に一人立たされたことも…そんなクソ生意気な小学生の私があらためて人前で何かをやるって、ドキドキ・ワクワクと同時に、ものすごく怖い。セリフの順番を心の中で数えながら、覚えたセリフを一言いうので精いっぱいだった。
ところが、ある日練習が終わって、演劇クラブ担当のかっぷくの良いベテラン女先生が私に向かって褒めてくれたのだ。
「さなまるさん、白雪姫が息を吹き返したとき、後ろでパァ~ッと花が咲いたみたいに笑顔になったよね、とても良かったわ!」
セリフを言うプレッシャーから解放されて、単純に白雪姫が生き返ったシーンで、私は自然と顔がほころんで笑っていたらしい。
40過ぎてオバサンになっても覚えている、嬉しかった思い出だ。そして大人が子供に投げかける言葉って、なんて偉大なんだろうとも。
あの時には、自分が大人になって、こんなにも長く演劇と関わるなんて予想だにしなかったが、これが私と演劇との初めての接点と言えるかもしれない。
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