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家賃2万9000円。上京後の初アパートはトイレ共同風呂なし物件

今から25年前、私は大学があった山口県から上京してきた。
理由はお芝居をするため。大学時代に演劇部に入って、すっかり演劇の魅力に取り憑かれてしまい、「まだまだ演劇をやってみたい!」とその一念だけで就職活動もせず卒業後、都内の演劇養成所に通うことに決めた。
若気の至りとはよく言ったものだったが、縁もゆかりもない地方出身者にとって、東京の家賃は恐ろしく高い…。

山口で大学生のときは学生アパートに住んでいて、家賃1万9000円(4畳半/トイレ風呂共同)だったせいかもしれない。
都内の不動産屋の貼り紙を見て、「安い物件、見っけた~♪」と喜んだのも束の間、そこの物件は駐車場だったり。

とはいえ、初めから花の東京シティーライフなどとは、全く期待してもなかった。予算と相談して、養成所からそこそこ近く、女子が住むのに治安が良い街、駅チカの風呂なし物件という最終条件を出した。

不動産屋の担当者がオススメしてくれたのは、世田谷区の三軒茶屋という街の一角にある古いアパートだった。

・最寄り駅から、徒歩10分(走れば6分位)
・新宿の養成所まで30分前後で通える
・女性専用アパート
・家の周りに銭湯が三件もある(一番近い銭湯が徒歩30秒のとこ)
・小劇場の聖地といわれる下北沢から楽に通える(自転車でも10分位)
・終電逃しても、頑張れば?渋谷からも歩いて帰れそう

条件と一致して、色々とメリットもあったので、内見一件目で早々に決めた。
何といっても、家賃2万9000円(水道代込み)は魅力すぎる!

昭和43年に建てられて、私とほぼ同世代。4畳半・風呂なしに加え、トイレ・玄関共同のザ・昭和を彷彿とさせる安アパート。今でこそ「シェアハウス」という部類に入るのかもしれないが、あの薄暗い廊下のイメージはやっぱり「長屋」という言葉がピッタリだろうな。

住めば都といったもので、それから10年近く風呂なしで暮らすなんて思いもしなかったけれど。

ずいぶん、昔のことなので、今は銭湯もずいぶん減ったし、風呂なし物件も少なくなっただろうなと思って調べたら、意外と当時の価格帯のまま同じような物件が存在していたのは驚きだった。

世田谷区の賃貸物件 「家賃3万円以下の賃貸物件」


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