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23歳無職、大阪から東京まで歩く【13日目・前編】

3月28日(火)

5時00分 起床

おはようございます。
えー、誕生日です。24歳になりました。

いい年になりますように。

とりあえず朝ごはん。

今日はこの旅のラスボス、箱根峠を越える。
流石に暗くなる前に越えられるとは思うけど、不安なので少しでも早く出発したい。

5時43分 出発

なーーーーーーーーーーーーんか雨降っとるんですが???

それは許されない。流石に許されない。第一雨が降るなんて聞いていない。

高校1年でスマホを手にして以来ずっと愛用してきたヤフー天気に本気でイラっとしたのは今回が初めてではなかろうか。

これ以上ない程に勇んで宿を出たのに、出発して1分で雨宿りをするはめに。
これほどまでに「出鼻をくじかれる」という言葉がぴったり合うシチュエーションに遭遇することは恐らくこの先ないだろう。


5時59分

止む気配が無いので、痺れを切らして再出発。
かなり不機嫌になっているので、レインコートも着ないでヤケクソ気味に進む。

6時22分

いよいよ。

谷田に来ました。やたー!

雨、全然止まない。
ここで雨具を着てしまうと負けた気がして心底悔しいので、時々タオルでリュックサックを拭きながらそのまま歩き続ける。

山道には入ったけれども、具体的にどこからが「箱根峠」の入り口がなんだろう。
そんな感じの標識とか見かけないし、多分まだ入口まで辿り着けていないと思う。

7時10分

雨が一応止んだ。
一時的に降り止んだだけなのか、それともここから晴れてくれるのかは不明。

確かなのは、天気予報をあてにしてはいけないということだけ。

7時41分

ひたすら山道。

8時19分

雨足が強まる。
今回の勢いは無視できない程なので、たまらず高架下に避難。

8時25分

雨の勢いが弱まらず、出発出来そうにない。
天気予報はもうすぐ止むと言っているが、完全にオオカミ少年である。

せっかく6時前に歩き始めたのにこんなところで足止めを食らうのは悔しい。
もう待っていても埒が明かないので、カッパを装着し、ちょっとマシになったタイミングを見計らって歩き出す。

写真では非常にわかりづらいが過去一レベルの急勾配。
霧で頂上が見えないレベル。
もしこのような道が続くのであれば、その先にあるのは、死。

8時38分

さらにさらに雨足が強まる。

また避難。参った、本当に参った。

木が密集して雨に濡れないスポットがあって助かった。
逆に言えば、場所が場所なので他に雨宿り出来そうな施設は一切ない。

目の前を箱根の観光バスが沢山通り過ぎていく。
ツアー中の団体さん達に「コイツ何してんのやろ……」と思われていることは間違いない。

しかし寒い。
3月下旬でもこんなに白い息が出るのかと驚く。
ジャンパー+レインコートの組み合わせでギリギリ耐えている。

まだまだ箱根関所までかなり距離があるが、だからこそ、こんな序盤で靴を濡らしたくない。
もどかしさを感じながら雨宿りをする。

ソシャゲのデイリークエスト消化や、iPadで漫画を読むなどして雨が止むのを待つが、雨足は強まる一方。

9時42分

3時間前天気予報「9時半頃やむ予定です」
2時間前天気予報「10時頃やむ予定です」
1時間前天気予報「12時頃やむ予定です」
今天気予報「15時頃やむ予定です」

・・・・・・・・・・・

9時52分 怒りの再出発

雨の箱根旧街道を突き進む。
本当に何をしているんだ。我、今日誕生日ぞ?

10時42分

箱根峠の文字。
この雨の中2.2㎞か……

11時05分

やっっっっっっと晴れた。
・・・5時間も待たせやがって……

いつぶりかの青空。

そして……

11時09分

箱根峠&箱根町&神奈川県、キターーーーーー!!

ついに、ついに関東まで来た。
静岡県滞在日数、なんと6日間。
お世話になりました。ありがとう静岡、よろしく、神奈川。

11時18分

浮かれ気分のまま、箱根旧街道を通ったり通らなかったりする。

ほぼ垂直なんだけど大丈夫ですかこれ。

11時26分

あまりにも大胆なショートカット。マ●オカートみたい。

苔の生えてしっとり濡れた石、ツルッツルで本当に怖すぎる。

11時37分

は?あれ?山は????

はぁーー?

観光客、めっちゃいる。

ありのまま今起こったことを話すと、今まで山のど真ん中を歩いていたはずなのに、気が付けば観光地に放り出されていた……

Googleマップを見ると、どうやら自分は今箱根関所に居るらしい。

外国人観光客の多さに驚く。

じゃあまあ、自分も観光するか。

11時48分

箱根といえばまんじゅう。折角なので食べる。

またしてもただの観光客に。
これが1時間前まで半べそかきながら山を登っていた人間の姿か?

というか、箱根峠はまだまだ序盤のはずなのにさっきからずっと下り坂だしいきなり観光地出てくるし、何かおかしくないか?

雨は地獄だったけど、想像していた道のりと全然違うぞ。


(※これは後から知ったのだが、自分が峠の入り口だと思っていた場所、どうやら箱根峠の頂上だったらしい。突入どころか既に半分クリアしていた……)

当時のツイート

12時17分

本当に山の中なのかいここは。

乗れるのか、海賊船に。


12時31分

バスが通り観光客で賑わう芦ノ湖周辺から逸れると、再び箱根旧街道。
むしろこっちの景色の方が断然安心感ある。

ここを歩いていれば畑宿・湯本を経て小田原に至ってくれるらしい

お馴染みとなった石畳。雨上がりなのでやっぱりつるつるしてて怖い。

歴史があるのだなぁとしみじみ思うなど。

湯本まであと90分ぐらいらしい。


13時10分

何やら道の奥に人がいっぱい。
なんとこの石畳の改修を行っているようだ。

私服や作業服を身に纏った20〜30人くらいの大人たちがハンマーやスコップを使って石を地面に埋め込んでいる。

「この道って定期的に補修されたりしてるのかな」と思った矢先、まさか実際に整備している光景に出会えるとは。

歩きやすくするためか、藁を置いてくれている。
石畳が出来る以前はハコネダケを敷き詰めて街道を歩いていたという、さっき掲示板で読んだ情報を思い出す。

13時20分

小腸?

というかさっきからずっと下り道なんだけど、まさか後はこれをのんびり下るだけ……?

アレだけ身構えて挑んだ箱根峠、拍子抜けにもほどがあるぞ……

13時47分

坂道、坂道、時々階段、石畳。
どこまでも続くよ下り坂。

流石にこれを石「畳」と呼ぶのは無理があるだろうよ。

箱根峠楽勝じゃんと思いながら下っているけど、ひょっとしたら地獄を見ていた可能性もある。

愛知〜静岡の入り口あたりで膝を完全に痛めていた時期があったが、あのコンディションでこの下り坂を歩いていたら間違いなく終わっていた。

丸一日ネカフェで雨宿りした日や宿に早く着きすぎて昼からゴロゴロしていた時間を勿体無いと思っていたけれど、ああいった休養日が無ければ今自分は膝の痛みに悶え苦しみながらこの道を歩いていたのかもしれない。

あとこれ、今回の旅が東京スタートだったらこの数時間続く下り道が全部上り坂になってたってことだよな……

14時47分

おおお箱根湯本!一生自分に縁が無さそうな高級旅館がわんさかある。

15時14分

やたら豪華なイートインスペースがあったのでここで昼ご飯。
これが箱根湯本クオリティか。

ファミレスかな?

そうだ、湯本まで来たってことは、

箱根峠、攻略!

ラスボス、なんか知らんけどクリアしてた。
天気予報とにらめっこしながら木の影で1時間以上雨宿りしてたあの時間が一番キツかった。

逆に言ってしまえば、雨に苦しめられすぎて坂道や足の痛みへの意識が全く向かなかった。

とにもかくにも、峠を越えてしまえばもう着いたも同然。
あとはゴールの小田原まで、音楽聴きながらのんびり歩くだけ。


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