指す将順位戦9th自戦記 B級1組 3回戦 (vs マルマイン初段[1557])
1勝1敗で来たる3回戦。
前期はここから連勝が続いたが、今期もそれに倣えるか。
【対局前】
◇対局相手の印象
純粋居飛車党
先手番では初手▲2六歩から相掛かりや角換わりを志向している印象。
後手番のときが特殊で、2手目△8四歩から①相掛かりは受ける、②▲2六歩△8四歩▲7六歩だと△3四歩で一手損角換わり、③▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7六歩だと△3二金で角換わり拒否力戦が多い。後手相掛かりをやりたくて2手目△8四歩はわかるが、②③は普通は③にまとめられるものをそれぞれ作戦を変えているので、何かあるようだ。
もはやお馴染みとなったこのチャートによると、攻めの力戦派らしい。ただ棋譜を見た感じでは、最新型を指さないだけで 自分なりの方針は持っているように感じた。作りは早繰り銀主体という印象。とりあえず荒らして終盤捲れば良いみたいなタイプではなさそう。
しっかり事前準備をするという姿勢からもそれが感じられる。どんな作戦で来てくれるか、滾るねー。
◇対戦成績
初手合い
マルマイン初段は第2期から今期まで継続参戦中の先輩。常にB級1組に在籍しており、上は昇級プレーオフ、下は降級プレーオフとこのクラスの頂点から底辺までを網羅している。「B1の門番」は伊達じゃない。
◇事前準備
[▲先手番]
こちらが先手番の場合は角換わり志向で挑む予定だ。
①角換わり腰掛け銀
もしお相手が王者の心意気で応じてきたら、組み合って勝負する。本局は積極策ではなくとにかく基本図を目指す安全策でいくつもりだ。
②角換わり拒否
正直角換わりは受けてこないと思っている。
それは先手にとって結構大きな得だと思っているので、そのリードを失わないようにしっかり準備しておきたい。
③横歩取り模様
これはほぼないと思っているが、▲7六歩に△3四歩としてくる可能性はある。
前期は一般的な対応をしたが、本局は事前準備があるとみてやさい式相掛かりを志向してみようと思う。
[△後手番]
こちらが後手番の場合どう指すかは正直結構悩んだが、本局は相手の志向を受ける方針でいこうと思う。
相掛かりと角換わりをそれぞれ想定する。
④相掛かり
相掛かり▲9六歩型に対しては△3四歩型でいこうと思う。野良対局でも指している戦法で、先手が早繰り銀で来ることを考えると他の形よりわかりやすいと考えた。
⑤角換わり腰掛け銀
マルマイン初段の角換わりは▲2五歩を保留した形でくる印象がある。角換わりは避けてくると予想しているが、そのときの対策も考えておきたい。
~対局前まとめ~
先手番の場合は角換わり志向、後手番の場合は2手目△8四歩という王道の将棋。
普段の対局にも接続できる準備が出来たと思う。
角換わり拒否力戦を指したいので先手番希望。
【対局開始ッ!】
先手:SaisokuAmanogawa(1706)
後手:marumain(1557)
(↓対局棋譜と振り返りは下記リンクからどうぞ!)
◇急所の局面(92手目△3一玉まで)
最後の寄せの局面。ここでは66の歩を取る手も自然だが、踏み込むなら▲5二角成という手があった。
対局中は全く見えていなかったが、この手は詰めろになっている。
あり得ないが△9五歩などとパスすると▲4二馬△同玉▲4三金(桂成も可)△5一玉▲7三馬で①△6二Xには▲5二銀、②△6一玉は▲6二銀までの7手詰がある。
完全に盤の右側で寄せるというイメージで迫っていたが視野を広く持つのが大事だった。
よって逆算すると後手は▲4二馬を受ける必要があるということになる。
一回△6七歩成▲同金は入れるとして、△3二金と受けるが、▲4三桂不成△同銀▲同金△1二飛▲1一馬と先手の攻めが止まらない。
わかりやすい左右挟撃形で、これで必至になっている。
後手から先手に迫る順もなく、見た目的にもこれは明快に先手が勝ちだ。
【対局後】
◇本局の振り返り
予想通り角換わり拒否の相掛かりとなり、銀得までは上手く指せたと思う。序盤も完全に想定通りではなかったが、評価値をマイナスにすることなく乗り切れた。角換わり拒否の形は基本的にまず後手がポイントを失っているので先手はある程度自由に組めるのが嬉しいところだ。
銀得して良くなったと思いきや、そこから勝ちきるまでが大変なのが将棋。寄せに手間取り怪しくなりそうなところで時間切れ勝ちとなった。本局は踏み込む将棋がテーマで 踏み込みすぎたからこうなった感はある(特に69手目▲2五龍くらいが普段の棋風)が、次局に続けて良い弾みになったので勢いよく行きたい。
◇最後に
そもそも何故踏み込む将棋がテーマになったのかという話。
実は以前にこういうやり取りがあって私もちょっと「自分らしくない将棋」を取り入れてみようと思い、自己評価として私は局面を磐石にして勝つ棋風だと思っているので、あえて踏み込む将棋を取り入れて中終盤の切れ味を高めようと考えた訳だ。結果として上手くいっていたかはわからないが、違った性質の将棋を指すことで多角的な思考が出来るようになれば嬉しい。この一局だけではなく他でも色々試しながら、でもいつもの将棋も忘れずに良いバランスで戦っていければと思います。それじゃあ。