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指す将順位戦9th自戦記 B級1組 2回戦 (vs じっきょー3級[1339])

前期に続いて黒星スタートというイヤな立ち上がり。
思えば月光戦でも初戦に強敵とあたって第1節を落とすことが多かった気がする。
それでも毎回最後は勝ち越しまで漕ぎ着けていたので今期も心に余裕を持って進んでいきたい。


【対局前】

◇対局相手の印象

振り飛車党
主に四間飛車を指している印象。また美濃囲いを好んでおり、振り穴や振りミレは志向しないようだ。
早指しをずっと指しているようなので時間差には気を付けたいところ。

指す順放送局のチャートによれば、定跡派の受け将棋らしい。この位置だと攻め4,受け6くらいだろうか?
この比率は将棋系YouTuberショーダンさんが理想の将棋とおっしゃっていた記憶がある。

◇対戦成績

初手合い
棋譜も見たが何故か相手が力戦か相振りの将棋ばかりであまり参考にならなかった。
早指しだとそうやって惑わせてくる相手が多いということだろうか。1回戦のポールさんの棋譜を見たときはあまり気にならなかったが。

◇事前準備

対四間飛車を想定して作戦を立てる。

 [▲先手番]

こちらが先手番の場合はミレニアムを志向したい。
以前にもミレニアムを指そうとしたことがあったのでそちらも見ていただきたいが、ともかく現状四間飛車相手に最も勝てているのはミレニアムという認識だ。
↑リンク先でも少し触れているが、
・端歩突き居飛車穴熊and右銀急戦両天秤
・箱入り娘急戦(右銀急戦からの派生)
・ミレニアム
・ドルフィン流
四間相手にはこの四本のなかから棋理的実戦的両面で最も勝ちやすい指し方を探していきたいと思っている。

サンプル数は少ないがウォーズでは負けなしの戦法だ


想定局面①
じっきょー3級は1回戦でもミレニアムを相手にしている。
そのときはじっきょー3級が先手番だったがプラチナ美濃に組んでいた。
後手番のとき作戦を変えてくる可能性はあるがこれを本線に考える。

 [△後手番]

こちらが後手番のときは特別な局面は用意せず野良対局と同じように指すつもりだ。前回の将棋を踏まえて、自然な将棋の経験・感覚も更に高めていく必要があると感じた。こうした機会も用意してみることにした。

~対局前まとめ~

対四間飛車を想定して、先手番ならミレニアム、後手番なら普段通りに。
……とはいえ、正直後手番は薄いと思っている。というのも、最近後手番を引きすぎているからだ。

対局当日までの1ヶ月間の野良対局。これはひどい

指す順に限っても前期9回戦から4連続後手番である。そろそろ先手番が来る頃だろうと踏んでいる。
先手後手どちらを引いても良いように準備はするが、どちらかといえば先手番の方を重点的に研究しておきたい。

【対局開始ッ!】

先手:SaisokuAmanogawa(1636)
後手:zikkkyo(1339)

(↓対局棋譜と振り返りは下記リンクからどうぞ!)
https://shogi.io/kifus/259452













◇急所の局面(43手目▲4六角まで)

本譜は以下△5六歩と進んだが、代えて△4五歩と指した局面を検討したい。

△4五歩

[基本図]

このとき角を出るか引くかが悩ましかった。
まずは実戦で読んでいた▲3七角から見ていく。

[基本図]以下 ▲3七角 △6四金 ▲1五角 [a図]

▲1五角は▲1六歩を活かした手でミレニアムでは部分的にある筋だ。
形勢は悪くないが、画像の局面になったとき後手の指し手が広いのが厄介。
・△1五同角と素直に角交換に応じる手
・△4四角とかわす手
・△6三銀と▲3一角に備えつつ先手から角交換させる手
・△5六歩と突いて▲3一角に△5五角の切り返しを用意する手
など色々あり、どれも微妙に展開が異なるので整理しにくい。

なので[基本図]から▲5五角を考えてみたい。

途中じっきょー3級の回線が途切れてしまい、感想戦はDMで行われた。
それによるとじっきょー3級は▲5五角の方を有力視していたという

[基本図]以下 ▲5五角 △同角 ▲同歩 [b-1図]

[b-1図]

▲5五角に角交換を拒否するのは難しい。
▲3七角の進行とは違い△6四金が入っていないので、▲3三角成△同桂に▲5五角が見えているからだ。
角をかわすと飛車が取られてしまうので角交換までは進む。このわかりやすさは良い。
そして画像の局面になったとき、手番は後手だが指し手が難しい。

①△3九角は▲5八飛(※)が最善だが、▲2七飛でも先手有利。以下最善は△4二飛だが▲2四歩△4六歩▲2三歩成△4七歩成▲3二と△4六飛▲2一飛成△5八と▲2四角がわかりやすいか。

※下のような読み筋だが激しい攻め合いで飛車が狙われるため少し難しい気がする。しかし評価値1000超えは魅力的なので研究してみるのもアリ
*検討 1 時間 00:58.8 深さ 20/34 ノード数 60202446 評価値 1030 読み筋 △4六歩(45) ▲同 歩(47) △4二飛(22) ▲5四歩(55) △4六飛(42) ▲6五桂(77) △5六歩打 ▲7三桂(65) △同 銀(72) ▲6五桂打 △4七飛成(46) ▲7三桂成(65) △同 金(63) ▲5九飛(58) △4八角成(39) ▲3七角打 △同 馬(48) ▲同 桂(29) △4八角打 ▲5五角打 △5七歩成(56) ▲同 飛(59) △同 角成(48) ▲同 銀(68) △同 龍(47) ▲4六角打 △5五龍(57) ▲同 角(46) △5九飛打

②単に△4二飛も上記手順と似たような展開にも出来るし(※下画像参照)、棋譜コメントで記した▲8六角も発生する。

②の展開で①と同じように双方飛車先突破をはかった場合、角を手持ちにしているのは後手のポイントのようだが②の場合は端攻めが成立して先手優勢になる。
①の場合は△3九角が93の地点にまで利いており端攻めはなかなか成立しないが上記のような手順で飛車を成って先手有利。

よって後手は
③△4六歩と先に歩を突いてから△4二飛と回るのが軽やかな順。これをもう少し掘り下げたい。

[b-1図]以下 △4六歩 ▲同歩 △4二飛 ▲4八飛 △3九角 ▲4九飛 △2八角成 ▲5四歩 [b-2図]

[b-2図]

途中△4二飛に▲2四歩は今度は後手の飛車が軽く間に合っていない。
よって▲4八飛と受けつつ逆襲を狙う手に△3九角から乱していく。

上記のように進むが最終手▲5四歩が気付きにくい好手で先手が良くなる。
対して△4六飛は飛車を取り合っての▲3七角で飛車角総交換でどちらがやれるかという将棋。基本的には▲5五角、△5八飛と先に防がれたら▲2二飛から攻め合って居飛車の形勢が良さそうだ。
代えて△3八馬は▲5九飛と紐をつけながら攻めも見せて指しやすい。

素直に△5四同金とされたらどうするのかを見ていきたい。

[b-2図]以下 △5四同金 ▲7五歩 [b-3図]

[b-3図]

▲7五歩と桂頭を狙うのが金を退かした狙いだった。
以下△6四金と戻るのは▲3一角で△4四飛と受けつつ逃げても角を切って▲5五金から▲7四歩で先手優勢。

よって△6三銀左や△6三銀右と受けるが▲5五歩が上手い追撃。
(1)△同金は▲7四歩△同銀▲6四角が飛車金両取り
(2)△6四金とかわすのはやはり▲3一角がある
(3)△5三金は▲5九飛で▲5四歩を見せて指しやすい。▲5五角や飛車を切っての強引な攻めが通りやすく好調。
(4)△4四金は▲7四歩△同銀▲4五歩で後手はまとめるのが大変。以下△同金には▲3一角、△5五金には▲6四角で今度は28の馬が利いており金の方には紐がついているが、△3一飛などと飛車を逃げる手に▲5六歩が逆に馬の素抜きを狙えて先手優勢。

この▲5四歩・▲5五歩の筋はこの機会に覚えておきたい。これが指せれば先手は磐石だろう。
という訳で、[基本図]からは▲3七角・▲5五角どちらも居飛車良しのようだが、実戦で読んだ▲3七角よりじっきょー3級が示した▲5五角の方が棋理的にも実戦的にも有力と結論付けたい。


【対局後】

◇本局の振り返り

想定局面がヒットし、類似した局面の研究手順とも関連させながらそのまま有利を維持して勝ちきる理想的展開だった。終盤は少し寄せがグダった部分もあったのでそこは課題だが、そうさせたじっきょー3級の粘り強さも光った一局だった(観戦者にもその点を評価されていた)。秒読みの55秒思考法に関して、本局では相手にメリットを与えている感触はなかった。優勢時だけでなく劣勢時にもこれをやるべきか、形勢判断を悟られないために常に一定にすべきかなど難しいがこれからも続けて判断していきたい。
ともかくB1の舞台でまだこの勝ち方が可能というのは自信になった(逆に序中盤でここまでやって勝てないとなると絶望的だった)。成績をタイに戻せたのでここから巻き返していきたい。

◇最後に

今期から指す順放送局が毎週火曜日21時~配信されているので、それを見終わったくらいのタイミングで記事を公開出来るようなペース(あくまで目安)で書いているのだが、土曜日対局だと割と余裕を持って書けることがわかった。
これまでは出来るだけ事前準備に力を入れるためにギリギリの日曜日対局が多かったけれど、余裕があるとその分振り返りもじっくりやれるので土曜日対局も選択肢に入れて考えたいです。それじゃあ。

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