指す将順位戦7th自戦記 B級3組 9回戦 (vs まつい9級[650])
昇級へ向け、いざ快走!
自動昇級か入れ替え戦かの瀬戸際で ここは他者の成績も関わってくるので何とも言えないところ。
一局でも多く指したいので実はむしろ入れ替え戦を狙いたい気持ちもあるが、あえて負けるようなことは断じてしない。
一局一局 一点の曇り無く勝利を目指すのみ!
【対局前】
◇対局相手の印象
純粋振り飛車党
四間飛車と三間飛車の両刀使い。
相手の駒組みによって柔軟に形を変え 美濃囲いだけでなく振り飛車ミレニアムも取り入れる等、まさに現代を生きる振り飛車党像そのもの。
振り飛車党というと とにかく芸術性を求めるタイプと振り飛車なりのロジカルを持って戦うタイプの2種類が混在しているが、まつい9級は後者に属し まつい対策がそのまま四間飛車対策、三間飛車対策になりそうな模範的な将棋を指すという印象を抱いた。
◇対戦成績
初手合
棋戦で振り飛車党と指すのは4回戦ぶりで、対振りの成績自体あまり良くないので気を引き締めて臨みたい。
◇事前準備
[▲先手番]
四間飛車・三間飛車を相手取ることを想定し、それぞれ対策を用意する。
①対四間飛車
こちらが先手番の場合は基本的にいつも通りの駒組みにするのだが、余程偏った駒組みをされない限りはミレニアムを積極的に狙っていこうと思う。
四間飛車に対する通算戦績が恐らく勝率5割を切っている中、唯一勝率6割以上を保っているのがミレニアム。
ただ四間飛車側にも有力な対策が複数あり、それでも居飛車が先手番ならギリギリ優位を保てるかな、というくらいの印象。
居飛車穴熊もマリンブルー流も試したので 折角の機会ということで満を持してミレニアムをぶつけてみようと思う。
②対三間飛車
居飛車が先手番で三間飛車を相手にした場合はやはりへなちょこ急戦が強力。
[△後手番]
後手番の場合も同じように四間飛車と三間飛車の対策をそれぞれ用意する。
③対四間飛車
後手番でのミレニアム(トーチカ的な囲い)は四間飛車の対策の方が上回っており、作戦負けを回避するためには途中で相当繊細な駒組みが必要だと考えている。
そこで本局はトーチカではない ミレニアム風の形を用意した。
④対三間飛車
先手三間飛車対策のへなちょこ急戦もやれないことはなさそうだが やはり一手遅い後手番で急戦はなかなか大変でもある。
ということで本局は雁木で対抗する。
先手中飛車対策に雁木を採用したことはあったが先手三間飛車対策には初。
◇対局前まとめ
先手番で四間飛車・三間飛車攻略の対策を用意し、後手番は千日手を狙って先手番に繋げるという組み立て。
ただ後手番の想定局面になったからといって じゃあもう千日手濃厚かというと、実際はどこかで拗れて打開されて一局になると思うので あまりそこに執着せずあくまで方針の一つくらいの認識で指す。
【対局開始ッ!】
先手:* yms-125(1350)
後手:SaisokuAmanogawa(1438)
shogi.ioで振り返るのが定着してきました。
こちらのリンクからどうぞ~
↓
https://shogi.io/kifus/254565?start_tesuu=0
【急所の局面】(45手目▲7二歩まで)
用意の進行から外れた局面での次の一手。
本譜は△74歩と指して互角の形勢が続いたが、ここで△77歩と打つのが妙手だった。
いわゆる焦点の歩というやつで、先手はどれで取っても味が悪い。
①▲同桂は△86歩から飛車先突破が受からず後手優勢
②▲同飛は△同歩▲同歩に △同銀と取ると▲73飛成とされてしまうが、代えて△同飛と取れるのが77歩の効果。以下▲87歩△84飛▲71歩成に△76歩と抑える(参考図1)。
以下▲67飛以外だと△87飛成と龍を作られてしまうため、
▲67飛△85桂▲68銀(代えて▲45歩等と放置すると△77歩成▲同桂△76銀が強烈)△77歩成▲同桂△76銀▲57飛△77桂成▲同銀△87飛成(参考図2)
と進む。
これで後手がリードを保てている。
以下▲61と△75桂という最善手順は難しいやり取りだ。
ここからソフトの読み筋通り進めると先手が飛車2枚、後手が角2枚の状態での攻め合いとなり、評価値は後手が良いものの実戦的には難解な勝負。
そこで△75桂に代えて△77銀成をこの検討での最有力手とする。
以下▲同飛△89龍で浮いている角を狙い、▲48角と逃げる手に△75桂が好手。(参考図3)
対して例えば▲76歩と桂馬を取ろうとすると△68銀で飛車が死んでいる。
そもそも参考図2から▲61とは指してこないだろうと考えるなら代えて▲76銀と無理やり飛車交換を狙ってくる手が見えるが、冷静に△同飛と銀の方を取っておいて後手有利。
また遡って△77歩に③▲同角も当然ある。
本局は先手の浮いた角を攻撃目標として攻めの方針を立てていたため、わざわざ角の位置を直す機会を与える手というのが読みから抜けていた。
△86歩に(1)▲同歩は△同銀▲同角の場合△同角だと▲73飛成で後手劣勢だが代えて△同飛▲73飛成△89飛成で後手の方が威力が上。
▲同角に代えて▲68角と引くのは△77歩と再度焦点の歩を打って▲89飛△87銀成▲77桂△88成銀▲29飛△78成銀▲59角△88飛成(参考図4)で後手良し
また(2)▲同角と取る手もある。
△同銀に▲同歩なら(1)▲同歩△同銀▲同角△同飛の変化に合流するが、代えて▲73飛成がある。
これには△75銀と銀がバックするのがぴったりの返しだが▲84龍△同銀と先手も飛車交換に持ち込み、▲81飛と先着できる。(参考図a)
これにはⅠ△75銀とⅡ△79飛の2つの応手がある。
(画像では△49飛や△59飛,△69飛が上に挙がっているが全て△79飛▲84飛成△89飛成の局面と合流するので実質上記の二つが候補手となる)
Ⅰ△75銀は銀取りを回避する一番自然な手。以下▲91飛成△69飛となって先手から▲25香、▲25桂、▲45歩と攻めてくる手や逆に▲39香、▲39桂と守る手等色々ある。(参考図b)
Ⅱ△79飛は銀を渡す代わりにスピード勝負で勝つ手。
以下▲84飛成△89龍▲81龍△99龍▲91龍となったときに今度は後手から△15歩、△12香打、△49角等 手が選べる。(参考図c)
評価値はどちらを選ぶかで劇的に変わるようなことはないが、個人的には自分が手番を握っている参考図cの方を選びたい。
しかしそのためには銀をエサにして飛車を釣るという発想が必要になってくる。
歩ならともかく銀となると勇気がいるが、この場合は成立している。
ともかく77歩の焦点の歩は対振りで頻出の手筋なのでこの機会に是非習得しておきたい。
【対局後】
◇本局の振り返り
全体的には 形勢を大きく損ねることなく仕掛けから勝ちきった好局だったと思うが、なにぶん最後の寄せが酷かった。1回戦から、そして指す将参戦以前から勝利への遠回りが時折見受けられるのでここはなんとしても改善したい。
◇最後に
shogi.ioでの検討・振り返りも少しずつ慣れてきた。
10回戦は不戦勝でお休みなのでゆっくり最終11回戦へ備えたい。
まずは終盤力を強化します(いつも言ってる)。それじゃあ。