
指す将順位戦8th自戦記 B級2組 5回戦 (vs Rajendra初段[1555])
前日にゆかなか竜王戦があり、明明後日には6回戦が控えている過密日程の中 5回戦を戦う。充実しているのは良いこと。
【対局前】
◇対局相手の印象
純粋振り飛車党
特に三間飛車を多用している模様。
相振り飛車も臆することなく指している。
というか指す順参戦意気込みからしてもう全局振り飛車宣言しているようなもの。
◇対戦成績
初手合
◇事前準備
ほぼ三間飛車を相手にすると考えて良さそう。
先後ともに対三間を想定して作戦を立てていく。
[▲先手番]
先手番になったときは、今期1回戦で指せなかった最速▲4五歩を今度こそ指したい。
調べていくうちに厳密には先手悪そうという結論に落ち着いてきているのでここでも先手番を引かなかったらもう日の目を浴びることはないかもしれない。

[△後手番]
後手番の場合は2手目△8四歩から対抗形で勝負。
前回の対局で2手目△8四歩を指す決心をした。
そして戦法はへなちょこ急戦。
これまでは名前を出しつつも後手番のときは見送ってきた作戦だが本局遂に採用。
本当の本当に成立しているかはわからないがfloodgateで指されるくらいには有力で、Rajendra初段の実戦譜があったのでそれを参考に作戦を組み立ててみた。

第7期指す将順位戦入れ替え戦
Rajendra-口火 戦を参考にしている。
~対局前まとめ~
先後ともに対三間飛車の対抗形を想定。
どちらでも急戦で激しい展開を目指す。
【対局開始ッ!】
…………しませんでした。まさかの不戦勝です。
ただ こちらがエキシビションマッチの提案をしたところ快く引き受けてくださったので、今回はその棋譜を5回戦に見立てて振り返ろうと思います。
↓
先手:SaisokuAmanogawa(1536)
後手:Rajendra(1555)
【対局後】
【急所の局面】(66手目△6五歩まで)
(△6五歩以下) ▲5五銀 [基本図]

本譜は代えて▲7七銀と引いたが▲5五銀が感想戦で検討された。
shogi.ioの方でも記したが、感触としては駒がぶつかってわちゃわちゃすると陣形が安定している後手の利になると考えていて、Rajendra初段も一度下がった銀が戻ってくることはないだろうと考えていたようだが実際進めてみるとどうなるのか。
([基本図]以下) △5五同銀 ▲同歩 △5七銀 ▲4一飛成 △6六銀成 ▲同銀 △同歩 ▲同角 △6四飛 ▲6五歩 △6二飛 [a図]

実際に感想戦で指された手順。
こうなれば先手陣はむしろ磐石で、次に▲9五歩の桂頭攻めなどで攻めにも困らない。
これは後手失敗だろう。
([基本図]以下) △5五同銀 ▲同歩 △6四飛 ▲4一飛成 △6六銀 ▲同銀 △同歩 ▲6五歩 △4四飛 ▲同龍 △同角 ▲8三飛 [b図]

[a図]への変化で、途中△5七銀が緩かったかもしれない。
△6四飛→△6六銀と無理矢理ねじ込んでくるとこう進むのが一例。
飛車交換した後、一応▲8四飛から王手角取りが決まるが、△8三歩▲4四飛△5六飛などと進んでこちらも怖い形。
形勢は先手が良いものの後手にも主張はありそう。
([基本図]以下) △5五同銀 ▲同歩 △6四飛 ▲4一飛成 △7四歩 ▲同歩 △7五歩 ▲8六玉 △6三金 ▲2一龍 △6六歩 ▲5六桂 △6七歩成 ▲6四桂 △7六銀 ▲9七玉 [c図]

他の進行として、[b図]までの変化の途中△6六銀のねじ込みに代えて△7四歩という手もあった。
▲同歩に△7五歩が上級者ってぽい手筋。
この歩を取ると△6三金から圧迫してきて少し怖い形。
[c図]以下は△7三金▲7二桂成△同金▲8一飛から終盤戦に突入する。
やはり評価値としては先手が良いがこの形をどう見るかは好みが分かれそう。
危なっかしい局面は浮遊感のある先手陣に起因している部分も大きいので、このような展開が嫌なら序盤から変えていく必要がありそう。
◇本局の振り返り
戦型選択から意表を突かれ、何とか均衡を保っていたものの最後は突破されてしまった。
局後のやり取りも含めて、Rajendra初段はこの作戦に関する部分的な定跡・手筋をいくつか持っていて 状況に応じて上手く組み合わせていると感じた。
完全に局面を一致させることが難しい対抗形の研究ではそのやり方が強い気がしたので自分も少しずつ取り入れていきたい。
◇最後に
不戦勝になったからには、ここは完璧に勝って「5回戦は結局最速キメの勝ちで文句無いね」としたかったところだが上手くやられてしまった。
ただ島ノ葉尚さんには「良い将棋だった」と評してもらえたし、対局相手のRajendra初段からは昇級へのエールをいただいたので 切り替えてまたいつも通り勝利を目指していきたい。
今度完全な形で対局するときはより進化した状態で臨みたいです。それじゃあ。