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#29 君が役割を持って、喜んだ日のこと

(4歳のわが娘が15歳になった時に渡す手紙です)

最近、君は父親の飲み物をコップに注ぐようになりました。(ほとんどがノンアルコールビール)

母親が冷蔵庫から缶を出し、コップをコースターに置くと、「ここからは私の仕事だからママはもういいよ」と君は、無言ながら目線で母親にメッセージを送っています。

缶を開け、こぼれないように左右の手を交差させる独特な持ち方から、飲み物をコップに注いでいます。自分なりにどのくらい泡が立つのかを気にしているようで、多すぎず、少なすぎずを目指しているようです。

上手くできたときは、満足した表情を浮かべ、泡が多かったときは何かしらの言い訳を言っています。たまに、最初の勢いが足りず、コップからこぼしてしまうこともありました。

今でも、父親の飲み物をコップに注いでいますか?(それとも、すでに、人間が飲み物をコップに入れる必要すらなくなっているのでしょうか)

私が思うに、幼い君にとって「役割」ができたのが嬉しかったのだと思います。私の仕事、私の役割。自分が貢献できている実感を持てること。それが、君にとって大切だったんじゃないかな。

さらに言えば、上手く注ぐことは、簡単ではないけど、できないほど難しいわけでもない。ちょうど良いお仕事だったんだね。

君は今、どんな「役割」を持っていますか。その役割をこなすことで、嬉しさを感じていますか。私が思うに、何か悩んでいるときとか、上手くいかないときって、役割を持って、他人に貢献しようという気持ちがなくなっているときだと思います。

自分のことばかり考えると、結果的に上手くいかないことが多いんじゃないかなって思うよ。だって、自分のこと考えると、誰かに、何かをしてほしい、ってどうしても考えちゃうからね。そんな暇な人いないよね。

歳を重ねるごとに、様々な役割を持つようになると思うけど、やらさせる役割ではなく、自ら進んで役割を果たすようなことができた方がいいと、私は思います。その方が楽しいはず。

役割に困ったら、また、私の飲み物をコップに注いでください。

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