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昔、書店。今は?

通訳者の職業病とも言えるのが「肩こり」。世の中には肩こり腰痛と縁遠い方もおられるが、私の場合、ここ数年、首と肩甲骨周りのコリが手ごわい。同時通訳をしていると、ついつい感情移入してしまい、リキが入ってしまうのが私の癖のようで、業務終了時には首がガチガチだ。

昔であれば、少しストレッチをしたり気分転換を図ったりすれば気が紛れていた。が、最近はそうもいかず。というわけで、帰路の途中駅にあるマッサージ店のお世話になることが多い。夕方以降は結構混んでしまうので、昼間のうちに業務が終わった時の方が予約しやすい。

もう一つ、コリほぐしの目的以外にマッサージ店を利用することもある。それは、自分の通訳パフォーマンスがイマイチだった日。万全の準備をしていっても、当日の通訳現場でフタを開けてみたら超難関であったとか、専門用語も知識も押さえていったものの、話者の皆様がマシンガン的超早口で付いていけなかったとか。色々と自分の中の反省項目が浮上してくる。

そのような日は、ストレートで家に帰っても我がアウトプット不完全燃焼状態ゆえ、気持ちも中途半端。ゆえに直帰せず、マッサージ店へ行くのも気分切り替えのためには大事になってくる。何しろほぐしてもらっているうちに寝落ちするので、目覚めもスッキリするし、先ほどまでのモヤモヤ心境も払拭できるので。

思えば昔は帰宅途中の場所に「本屋さん」があった。それも一軒だけでなく複数。まっすぐに家路につく代わりに、ほんの少しだけ書店に立ち寄る。棚の間を歩き、ぼんやりと書棚を見つめる。「へえ、こんなタイトルの本があるんだ」と思いつつ、本を棚から取り出してめくる。視覚的に仕事以外の活字を見て、手を動かして本に触れる、あるいは店内BGMを耳にする。そうした活動が脳をリフレッシュさせてくれたものだった。

そんな本屋さんも今は数少なくなっている。私が暮らす駅前にも本屋さんは無い。今の時代、仕事から家に帰るまでの間の第三の場所として、マッサージ店の存在も大きいのだろう。ちなみに先ほどTBSラジオ「森本毅郎 スタンバイ!」を聴いていたら、「#木曜日は本曜日」のことが紹介されていました!

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