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本当のサービスに出会えた幸せ

絵本が好きなこともあり、今日は放送通訳のシフト後に電車を乗り継いで美術展へ。「どうぶつかいぎ展」というタイトルです。戦後、世界平和を願ってドイツの作家ケストナーが記した「動物会議」から着想を得て、日本のアーティストがコラボした作品展です。

同時開催の「ぐりとぐら展」に懐かしさを覚え、施設内のカフェでパンケーキを味わい、いざ帰路へ。でもその前にやるべきことが。それは「ビジネス用のリュックを買う」というものでした。

ロンドンに留学していた学生時代、私は深緑色のリュックを愛用していました。あれから随分年月が経ちましたがなぜか最近、当時を思い出すことが増え、「またリュック生活に戻ろうかな」と考えるようになりました。あのリュックは色も軽さも私好み。背中や肩への負担が少なく、両手が空くリュックと共に、私は授業や図書館、美術館やコンサートホールなどに出かけたものでした。厳しい大学院生活を私と一体になってくれたリュックでした。

一方、近年の私はカバン迷走を続けています。ナイロンのシンプルなリュックを使ったこともあれば、「やはりビジネスシーンにはハンドバッグが必須」と思ったり、「いや、すべてが放り込めるトートバッグよね」とエディター向け巨大トートを持ったこともありました。ようやく最近になって落ち着いたのがナイロンのハンドバッグとビジネスバッグという二つ持ちです。

軽いのは助かりますし、たとえばレストランなどで中座する際にはハンドバッグだけ持てば良いので便利です。ただ、やはり2個同時に持つことは思いのほか、身体が疲れるのですよね。ゆえにここ数日、リュック再考となったのでした。

今朝、仕事への道中、欲しいリュックのタイプを具体的に考えました。個人的には「軽いこと」が最優先でした。ただ、ナイロン製などの軽めの場合、詰め過ぎると型崩れする恐れがあります。ビジネス用の装いをしているのに、バッグが背中でぐちゃっとするのは避けたいと思いました。

色も私にとって大事でした。市販のビジネスリュックの大半は黒です。確かに無難ですが、できればバッグのカラーでオシャレをしたい。留学時代に使っていたあの深緑を思い出すと、やはり自分好みのカラーも捨てがたくなります。

そんなことを思いながら美術展を後にし、駅に向かって歩き始めました。ミュージアムは商業施設の一角にあり、駅の方向へ斜めに通り抜けられる歩道もありました。そこを通って帰路につくつもりでいました。

ところが、ふと右斜め前を見たところ、ショーウィンドーにリュックが展示されていたのです。「あ、リュックだ。でも駅前のデパートで探す予定だったのよね」と思った私は通り過ぎようとしました。けれども「せっかくだし」と考え、そのお店を覗いてみることにしたのです。

広々とした明るい店内に入ると、複数のリュックが並んでいました。どれもビジネスシーンに活用できそうな革製で、美しいデザインです。しかも色は抑えめの深緑。よく見てみるとポケットやジッパーの部分など、機能的です。そんな思いを抱きながら見ていると、スタッフさんが来てくださり、色々と説明して下さいました。ワンサイズ大きめのタイプも紹介して下さり、私はそれぞれを比較しながら、また、私の手持ちの荷物を入れさせていただいて実際に背負ってみたりしながら、じっくりと選び始めました。

この時私が感じたこと。それは、商品の質はもちろんなのですが、店員さんのお人柄でした。控えめでいて、こちらのニーズをしっかりと汲み取り、しかも自社商品への愛情が非常に高いことがにじみ出ていたのです。素晴らしいスタッフさんでした。

「この人から買いたい。」

強く私は感じたのです。

購入を決め、オプションのコーティングサービスもお願いし、それが出来上がるまでの間、そのスタッフさんから商品や会社のストーリーを伺いました。大いに感銘を受ける内容でした。

たまたま訪ねた美術展の帰り道に、たまたま素晴らしい店員さんと理想のリュックに出会えたこと。「偶然」と言ってしまえばそれまでです。でも私にとっては何か目に見えない大きな導きのように思えました。

今やクリック一つでモノが買える時代です。店員さんとのやりとりを経ずに理想の商品に出会うことももちろん可能です。でも私にとって「物を買う行為」というのは、「真のサービス」との出会いでもあるのですね。

その偶然に心から感謝した一日でした。

(追伸:どうしても店舗名が気になる方は、「バングラデシュ リュック」で検索してみて下さいね)

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