やっぱり動く
認知行動療法がご専門の大野裕先生。日経連載コラムが私は好きで毎週欠かさず読んでいる。今週のタイトルは「『待つだけ』より『取り組む』」。要点は以下の通り:
*やる気がわかないからとて、何もしないと余計気力が衰える
*しかも、動かない自分がますます嫌になってしまう
*それで余計に落ち込んでしまう
確かに私にも身に覚えがある。「今日は疲れたなあ。仕事でぐったりだし。でも帰宅したらあれとこれとやらないといけないし。うーん」と思うこともあるのだ。特に通訳の業界は繁忙期閑散期があるので、仕事が重なるときはとてつもなくハードになるのも事実。
でも、大野先生がおっしゃる通り、「疲れたから何もしない」というのも良し悪し。体を休めることは大事。でも「なーんにもしていない自分」も度が過ぎると「自分は今、さぼってるのでは?」と思えてくる。それで余計疲れる。
だったらほんの少しで良いから、1ミリで構わないから取り組んでみる。実際、「取り組む」ということの多くが「体を動かすこと」だと私は思う。つまり自分の手や足を動かすということ。たとえば先日私は仕事から帰宅後、ヘロヘロ状態ではあったが、少し片付けをしたらなぜか元気になった。フシギ。大野先生がお書きの通り「脳内物のドーパミンが関係した報酬系と呼ばれる脳のネットワークが刺激」されたからなのだろう。
動く、ということ。四の五の言わずに動いてみる。それだけでも進歩。
(日本経済新聞2022年11月8日火曜日朝刊)