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自己有用感
*2021年9月3日初出。
私は所謂専業主婦。昭和の化石です。当時としてはめずらしいことではありませんでした。今なら何のために大学4年間行ったんだっておもいますけどね。それほど今とは社会構造が違っていたわけです。
当時は普通でも、令和の今、自分以外の女性が生き生き働いているのを目の当たりにすると、私はいったい何してるんだろう…という気になります。自分は自分!それはよくわかってはいるけど、でもやっぱり心折れる時は折れるんですよね。
そんな時、ほんの小さなことでも、あ、何か自分、役に立ってるかも…そう思えたらまた頑張れる。多分それが自己有用感。自分で自分を褒めてあげる。それ、すごく大事ですよね。
・6時前だったでしょうか、雷の音で覚醒しました。あの音は多分近くに落ちたよねという大きさ。あまりのショックで二度寝不可。それからずっと降り頻る雨音を聞いています。
福岡はまた雨。豪雨です。雨雲に閉ざされて太陽は影を隠し、朝なのに薄暗くて肌寒い。気象病のせいか、頭が重くて身体はだるい。
動けない。
動きたくない。
でも今日は金曜日。この日だけは休めない仕事があります。
でも正直、この大雨の中、行きたくないなあ。
そんな気持ちがよぎります。
私の仕事は某カルチャー教室の短歌講座の講師。私が休むと受講していただいているみなさまに迷惑をかけてしまいます。すると、休めないなあ…と考えてしまうわけですね。
契約を交わしてお仕事しているわけですから、ドタキャンは大人として許されることではありません。でもなんとなく体調不良で気分が下がった時、「大人として、社会人として」の義務感から動こうとするとますます動けなくなりますよね。がんじからめにされたみたいに。
長く生きていると何度かは経験したことのあるそんな気持ち。この厄介な思いを払拭してくれるのは、受講生の方々の楽しそうなお顔です。
私の親世代の方も多い短歌講座。聞けば勉強は大好きだったけど、戦時のどさくさで学ぶ機会を逸したという方がたくさんいらっしゃる。昭和のある時期、そういう方々のために生まれたのが、新聞社やテレビ局が母体となるカルチャー教室。今は受講生獲得が難しいカルチャー教室ですが、私が担当している短歌講座も発足時は教室に人が溢れ、受講するには予約の上、順番待ちだったそうです。もう50年近く前の話。
そんな頃から、講師は代わっても通い続けてくださっている方もいらっしゃる。そういうみなさんにはむしろ支えていただくことの方が多い。
実際、トラ子の不登校から大学進学、そして現在にいたるまで、受講生ではあるけれど、人生の大先輩のみなさまにたくさん支えていただきました。トラ子も時々教室に来て、隅っこで勉強していたこともあります。笑笑。
そんなこんなを思い出すと、ああ、あの教室は私の大切な居場所なんだと思えます。
かつて心ならずも学びの機会を奪われてしまった方々が学び直したいという気持ちで訪れるその場所は、私という小さな小さな存在がほんの少しだけお役に立てて、みなさんを笑顔にできるかもしれない場所。
小さな自己有用感。
これがあるから今日も頑張ってお仕事行こうと思えるのです。