こんな日が来るなんて
*2021年11月28日初出。
現在帰省中の娘。社会人1年生を楽しんでいます。不登校の日々を過ごし、高校受験をすっ飛ばして大学に行き、専門をもう少し学びたいと大学院へ。半年の休学期間を挟んで、今年4月からとある出版社で働きはじめました。自分で選んだ仕事に納得できるまで取り組んでいるもよう。毎朝仕事に行くのが楽しくて仕方がないのだそうです。私にはなかったなあ、そんな気持ち。不登校の日々の、あの気持ちを思えば、ほんと「こんな日が来るなんて」ですが、実際来るんですよ、こんな日。私たちが信じていれば。
娘大学1年前期、私は月に2-3度様子を見に上京していました。その理由については、娘のことを考えると話さない方がいいと判断して、これまでお話ししたことはありません。でも、先日のメールからもういいのかなーと感じたので、ここに書いておこうと思います。
娘が高校進学をしないまま大学入学したことはお話ししていますね。そのこと自体は別にどうでもいいのですが、友人関係で少々困ったことが起こりました。
当たり前ですが、大学には色々なところから色々な人がやってきます。その時、人間はある程度予測可能な行動に出ます。その一つがマウンティング。集団内でのポジション、序列争いです。
これ、普通は中学から高校に進学する時に一通り経験するものですが、娘は高校進学していないのでそのあたりの耐性ゼロ。そこにもってきて、いきなり、大学に入って初めて学ぶ数学の新分野について、その理解度の低さをdisられる発言をされて、すっかり人間嫌いになってしまったのです。
実際のところ、そんなことを言う人間はひとりきりでしたし、娘の大学の単位取得の厳しさは有名で、みんな泣きながらレポート提出していたわけで、娘の理解度が特に低かったわけではなかったのです。
それは多分マウンティングだから、気にすることないよ。
何度もそう言ったのですが、ただただ数学を学びたくて、そのためにこの大学を選び上京した娘にとって、自分の能力を否定される発言をされたことはやはり大きなダメージでした。
辛そうなメールが届くたび、何もできない自分がもどかしく、でもとにかく生きて、少しでも笑って暮らしてくれたらいいと思い、可能な限り私も上京し、別に大したことは何もしないけれど一緒に過ごす時間をとりました。
そんな時期がいつ終息したのか、はっきりはわかりません。何がきっかけだったのか、それも定かではありませんが、人間嫌いになっていたはずの娘の周りに、いつの間にかたくさんの友人ができていて、その中にいる自分を客観的に見られるようになったこと、それが娘にはとても良かったのだろうと思います。
自分が変なわけでも、ダメなわけでもなかったんだ。みんなそれぞれ、考えていることが違うんだ。
こんな風に思えるようになって、娘はずいぶん楽になっただろうと思います。マウンティングなんて意味ないこと。娘がそう思えるようになった頃、私の上京頻度もがたっと下がりました。笑笑
で、先日のメールです。
その日、娘は久しぶりに大学で友人たちと会ったのだそうです。外部院進した娘にとっては懐かしくて、うれしい時間でした。そしてそこに、4年前娘にマウンティングを仕掛けてきた人物もいたのです。その人に現況を尋ねられた娘、今は外部の大学院で相変わらず悩みながらやっている、と答えたところ、
ああ、俺は君の専門分野は全然わからんかった。今もしっかり頑張ってるんだね。すごいな、尊敬する。
と言ったのだそうです。あの自分のマウント取ろうとしてきた人物から、まさかこんな言葉を聞こうとは…。
人間って変わるんやな、と思った。
メールはそう終わっていました。うん、そうだね。人は変わる。だって娘もすごく変わったよ。そして、また良い友人が一人、増えたんだね。