異彩発掘プロジェクトROCKET報告会
*2020年1月15日初出
2025年現在、こども・若者の居場所を支援するNPO法人イルタテエ活動で、素敵な大人に出会うことが大切なのだとお伝えしているのは、以下のブログに書いている中邑賢龍教授との出会いがあったからです。もう11年前の出来事ですが、大切な思い出です。
2020年になりました。トラ子が不登校になった2014年1月5日はもう6年前です。この間を、不登校当事者家族として、また、支援者として関わってきて実感していることがあります。それは、不登校問題に対する認知、理解は格段に進んでいるということ。
まだまだ社会の中のマイノリティという位置付けではありますが、「不登校=絶望」という悲壮感は薄れ、それもまた選択肢の一つと考えていただけるようになってきました。この意識の変化の理由は複合的で、一つに限定はできないでしょうが、ただ、オピニオンリーダーの存在はやはり大きいと思うのです。
その一つが東京大学先端科学技術研究センター・日本財団協働の「異才発掘プロジェクトROCKET」です。
このプロジェクトが始動したのは2014年、春。そう、トラ子が不登校→高校進学拒否となったその年です。新聞の隅っこに掲載されていた募集要項を偶然目にした私は運命的なものを感じて、とりあえず応募(ほんとは募集対象年齢を過ぎていたのですが)。8月のヤフオクドームでの説明会に参加したのでした。
その日のことは忘れられません。そもそも「異才発掘プロジェクト」とは、東大先端研の中邑賢龍教授の肝いりで始まった、不登校の状態にある子どもたちの中で、独自な学びを極めたいと思っている個性ある人材を育成しようという企画です。中邑教授を検索すると、斬新な視点で語られる不登校の姿に出会うことができました。その発想の自由さは子どもが不登校になって、人生詰んだと思い込んでいる私には(大げさでなく)まさに暗闇に差す一条の光でした。そんな数々の至言を下さった中邑教授にお会いできるのです。8月のその日、トラ子を連れて、ヤフオクドームに赴きました。
用意された一室に溢れる人と熱気。私が知らなかっただけで、世の中にはこんなに学校に行っていない状態の子どもたちとその家族がいるのだと驚きました。そんな中、中邑教授の登場です。白いシャツと細身のジーンズ。軽妙な語り口にもかかわらず滲む静かな知的な圧。
「不登校そのものが才能なんです。学校に行かないという選択をしただけなんです。でも、その選択をする勇気が、あなた(保護者のこと)にはありますか?」
中邑教授の言葉です。学校至上主義に洗脳されていた私を自由にしてくれた言葉です。今、私の隣に座って素敵な大人の、筋の通ったお話に目を輝かせているトラ子。この子には「不登校になる」という才能と勇気があったのだと、なんだか誇らしい気持ちになりました。中邑教授の存在を知らないままであったら、今も私は暗い闇の中でトラ子を責め続けていたかもしれません(怖)。
その後、トラ子の承諾を得て(正直、トラ子自身はあまり積極的ではなかったのです。笑笑)、ROCKETに応募。結果はまあ、そういうことです。笑。その時はやはり残念でしたが、その後のトラ子を思うに、この選考落ちは結果オーライだったなあと思います。トラ子にはトラ子に用意された道があった。そのことに気づかせてくれたのもまた、このROCKETだったと思うのです。
2014年12月、ROCKET第1期生15名がメディアを通じて発表されました。その異才ぶりは徹底していて、この子たちの将来を見てみたいと思わせるに十分な魅力に満ちていました。そして、2015年春、いよいよ「異才発掘プロジェクトROCKET」始動。
それから5年が経過した第1期生たちの今を知りたくて、2020年1月13日の「異才発掘プロジェクト5年間の報告会・僕らは、今、昔の学びをやって、未来を考えた」@東大安田講堂 に参加してきたのでした。
報告会は素晴らしいものでした。多分長くなります。「報告」を楽しみにご訪問下さったみなさま、申し訳ありません。金曜日をお楽しみに。