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55歳、突然農業に目覚めた男の物語


どうも、「455から畑仕事に挑む」男、真田はじめです。私の無謀な挑戦を、笑いながら読んでいただければ嬉しいです。

正直、野菜なんてスーパーで買うものだと思ってました。農業?それ、テレビで見る農家のおじいちゃんたちの世界でしょ、って。
でもね、ある日、自分の人生がこのままでいいのか疑問を感じちゃったんです。だから思い切って踏み出してみたら、案外土って面白いんですよ。

話は遡ること3年前。当時の私は東京のIT企業でバリバリ働くいわゆる“都会のサラリーマン”でした。早朝から終電まで働き詰め。週末は睡眠で回復するだけの毎日。安定した収入、家賃の高いマンション、たまの外食で自分を慰める日々。

そんなある日、取引先とのミーティングが終わった後、何気なく立ち寄ったカフェで「食の未来」をテーマにした展示会のチラシを見つけたんです。「へぇ、なんかオシャレな野菜とか置いてそうじゃん?」なんて軽い気持ちで訪れてみたら、そこに展示されていたのは、なんと小さな都市型農園のモデルでした。LEDの光で育つリーフレタス、土を使わない水耕栽培、そして何より「無農薬」という響きが新鮮で、心にグサッと刺さったんです。

その瞬間、思ったんです。
「これ、自分にもできるんじゃない?」って。

もちろん、思い立ったからといってすぐに辞表を出したわけではありません。実際、迷いましたよ。「俺、農業とか無理じゃね?」とか「55歳で畑仕事?誰か笑うでしょ」とか。でも同時に、自分の心の中で少しずつ芽生えていく「新しいことを始めたい」気持ちが抑えられなかったんです。

そしてある日、上司に呼び出されて「昇進」の話を持ち掛けられた時、はっきりと自覚しました。
「あ、これ俺が目指したい道じゃない。」

翌日、意を決して辞表を提出。上司は目を丸くしていましたが、これが私の“第二の人生”のスタートラインでした。

辞めたはいいものの、どこから手を付ければいいかさっぱり。ネットで「初心者 家庭菜園」と検索しても、用語が専門的すぎて意味不明。近所のホームセンターで道具を買い揃えたはいいけど、いざ始めてみると、全然芽が出ないし、虫は大量発生するしで大苦戦。

そんな中、地元の農業コミュニティに参加したことで世界が広がりました。70代のおばあちゃんたちが教えてくれた「昔ながらのやり方」、若い農家の方々が教えてくれる「最新技術」。
「野菜ってこんなに手間がかかるんだ」と驚くと同時に、「だからこそ面白い」と感じ始めたんです。

最初に植えたトマトは枯れ、次に挑戦したジャガイモは収穫ゼロ。でも不思議なことに、それが楽しかった。都会のオフィスで感じていた焦燥感が、土をいじることで薄れていったんです。

「失敗してもまたやり直せばいい。」
そう思えるようになったのは、農業がくれた一番大きなギフトかもしれません。

今では、地元のマルシェに出店して自分の作った野菜を売るまでになりました。もちろん、プロの農家には遠く及びません。でも、「自分で作ったものを誰かが喜んでくれる」ことが、こんなに嬉しいとは思っていませんでした。

人生に遅すぎるなんてことはない。それを証明するため、今日も畑に向かいます。

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