その男は、ただ粛々と仕事をこなした。“正義の名の下の不正“を決して許さぬ狼の口は、すべてを飲み込んでいく。
「狼の口」 久慈光久 全8巻
PAKU☆☆☆☆☆ POKU★★★★★ BLACK★★★★☆
帯あらすじ:14世紀のアルプス地方。イタリアへと通じるザンクト・ゴットハルト峠には、非情な番人が守る関所があった。何人たりとも通行能(かな)わぬその砦を、人々はこう呼んだ。ヴェルフスムント………“狼の口“と。
物語の中心は、“狼の口“と呼ばれる関所です。関所を守るのは代官のヴォルフラム。彼は様々な手を尽くして関所を渡ろうとする者達を非情に裁いていきます。
この作品はとにかく人が死にます。関所で捕らえられた者たちは、もれなく殺されます。「えっ!この人も!?」という人さえも、容赦なくどんどん殺されていきます。
それと、主人公が不在であることも大きな魅力です。言うなれば「狼の口」が主人公です。「狼の口」を中心に、物語は少しずつ動いています。どんどん死んでいくのですが、もちろん「1人残らず」ではありません。そこにあった人間ドラマは、すでにドラマではなく人々の人生です。
今まで紹介してきたPAKU☆POKUマンガとは全く毛色が違います。全8巻、読み応えたっぷりの作品です。とにかく、人がどんどん死ぬ。絶望しかない世界で、彼らは必死で生きています。
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