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便通異常症診療ガイドライン2023(前編)
日内会誌の記事を噛み砕くマガジン。
日内会誌の診療ガイドライン at a glanceシリーズ、10月号は便通異常症。
at a glanceをサンがさらにキュッとする!前半は便秘症にfocus!
慢性便秘症
便秘症の診断基準
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「慢性」の診断基準
"学術的には"
6ヶ月以上前から症状があり、
直近3ヶ月は慢性便秘症の基準を満たす
とはいえ、日常臨床ではここまで期間を区切って確認することはないですよね。
慢性便秘症の分類
便秘を「ハイ、便秘ね」で終わらせず
ちゃんと原因を考えよう。
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一番重要なのは、
大腸癌などの狭窄性器質性便秘症を見逃さないこと!
警告症状
排便習慣の急激な変化
血便
6ヶ月以上の予期せぬ3kg以上の体重減少
発熱
関節痛
警告兆候
腹部腫瘤の触知
腹部の波動
直腸指診による腫瘤の触知・血液の付着
大腸癌を想定した問診・診察のほか、
サンが初診時に確認していること
健診で糖尿病や貧血指摘されてない?
大腸がん検診毎年うけてる?(40歳以上)
自律神経症状や浮腫はない?(甲状腺機能低下症やニューロパチー)
内服薬(薬の副作用に対してまた薬を処方して…はできるだけ避けたい)
いざ治療
まず、排便困難型優位の場合、
直腸肛門指診
直腸エコー検査
CT検査
を行い、明らかな便排出障害疑いがあれば、専門医に紹介
と書いてある。
明らかな疑いってなんだよ…
明らかなのか、疑いなのか、どっちなんだよ…
ない場合や、排便回数減少型優位であれば、以下のフローで治療していく。
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生活習慣指導として
1日3食、規則正しく
特に朝食が重要!(胃結腸反射を起こす)
食物繊維の摂取
キウイフルーツ、プルーン、オオバコ(サイリウム)が効果的らしい
和式トイレ(しゃがむ)スタイル推奨→直腸と肛門が直線化する
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高齢者や腎機能障害(高マグネシウム血症のリスク)がなければ、酸化マグネシウムが1st choice
あれば、ラクツロースやポリエチレングリコールなど、別の浸透圧性下剤を使う。
あと、肝硬変あれば肝性脳症予防でラクツロースを選ぶ。
刺激性下剤はオンデマンド(O/D)で使う。
頓用
短期間
を守ること。
オピオイド誘発性便秘症
浸透圧性下剤
ナルメデジン(スインプロイク®)
ルビプロストン(アミティーザ®)
の3種類が使える。
もちろん頓用で刺激性下剤を併用して良い。
ガンコな便秘症例の思い出
サンが診た過去1番の便秘は、
統合失調症に対して抗精神病薬が長らく投与されていた患者さんだった。
直腸に、直径10cm近くもあるボール状の便塊が詰まっていた。
CTでは白く光っていて、いかにも硬そうであった。
これが出口を塞いでしまっているせいで、緩下剤を使っても脇から水のような便が出てくるだけで、肝心の塊は一向に出てくる気配がなかった。
摘便するか…と指を入れても、10cm大のボールの表面を撫でることしかできず、直腸内で便塊ボールがくるくると回転するだけであった…。
消化器内科に、「内視鏡で何とかならないですか…」と相談した。
塊を砕けないかと色々試行錯誤してくれたようだったが、、、
「あかんー無理やったわー」
との返事。
抗精神病薬の副作用が悪さしているのは明白だった。
精神症状も落ち着いているように思えたので、
月に3回くらいしかいない非常勤の精神科医師に相談の上、許可を得て抗精神病薬を減量した。
これでめでたし、めでたし…
というわけには、もちろんいかなかった。
そう簡単に便は出てこないし、
統合失調症の陽性症状が出始めてしまい、医師も看護師も、患者さん自身も非常に辛い思いをすることになった。
せめて便がこんなボールになる前に何とかできていればよかったのだが…
と思っても後の祭りである。
何事も予防的に動くことの重要性を思い知った便秘エピソードである。
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![花嫁にもなれず、総合内科専門医にもなりきれぬ哀れで醜い可愛いサン](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/150969324/profile_311bdf2c0ebb94004e9df942ba07befc.png?width=600&crop=1:1,smart)