月に一本、映画とゲームのエンディングを見るという話-20年7月編
心臓が爆発して脳髄に溶けた熱が流れ込み脳みそがニトロでかき混ぜられるような穏やかな七月でした。こんなにも静かに興奮し感情を揺さぶられられる事があるから人生は辞められないし生き続けようと思う圧倒的な活力になるんだろうと思います。
7月前半はVRに傾倒し後半は作品に傾倒し、頭がパンクするくらいの新しい体験をして色んなものを吸収した月になりました。世界で一番幸せな7月を飾っただろうと自負できる位に素晴らしい日々でした。感謝。
7月に体験した作品群です。始めましょう。
究極の体験を提供してくれた究極の究極が究極で最高。
アメリカはロスに開発を置くMobius Digitalの究極のゲーム。アカデミー賞にも輝いていて、ゲームにアカデミー賞があったんだと思った。
ループ型探索ゲームといったらそれまでだが、その全てのデザインが素晴らしく、宇宙に飛び立っていろんな星に降りる。先達の調査隊が飛び出していったのを追ってかつて同じ宇宙に住んでいたnomaiの調査を行うという感じなんですが、勿論最初どこに行くといった目標が無い為、とりあえず各星に降りてnomaiが残したメッセージを一つづつ回収していく。色々と良くわからない情報の端々だけが手に入って余計にわからなくなるのだが、ちゃんと軸になる謎の誘導がきちんとなされていて、船について調べてみるかなとか灰の双子座プロジェクトとやらを掘ってみようか、だったら灰の双子座に飛んでみようとか、自分自身が探索の方向性を決めていく事が重要である事に気付かせてくれる。
主人公が知っている知識とプレイヤーが知っている知識というのが完全に同期がとれていて、後からになって実はそうだったの?とか主人公の独白がどうのとか言うのが一切なく。自分自身で何とかしないといけない。それは時には探索に詰まって先に進めなくなる事になったりもするのだが、たった一つのひらめきから辿り着いた先の景色を自力で見つけれた時、圧倒的なワクワクと感動がある。この宇宙で、ハーシアンで、この地にたどり着けたのは自分だけなのだ。nomaiのメッセージの中でなんども出てきた○○という場所、いったいどこにあるんだ、あそこなのかもしれない。そしてそれが目の前に現れた瞬間、心臓が跳ねるし脳汁が出続ける。そんな体験だ。
これはもしかして考古学と同じ事をやっているんだろうと途中から理解した。世界における考古学はOuterWildsの様にヒントがきちんと用意されている訳じゃないし、時代の前後や嘘もあったりするだろうが、予測を立てて仮設を立証させる瞬間の感動を間接的に僕は感じているんだろうと思う。
OuterWildsはとにかく凄い作品だと言える。OuterWildsで検索した際に、OuterWildsの魅力に”ヤ”られてしまった人がその熱量を抱えていられずに記事にして発散している人が沢山いる。この作品ほどネタバレを見てはいけない作品は無いと思う。プレイする際にはぜひ何も見ずにプレイして欲しいと思う。
Theta Divisionのサイバーパンクアドベンチャー。steamにはドットでサイバーパンクなゲームが沢山ある。皆ドットとサイバーパンクが大好きなんだ。
VirtuaVerseはARによる表現やGEEKでNARDなサイバー感が強くナンセンスな雰囲気が全体を漂っていて途中物語の手がかりになるメッセージがフロッピーディスクに入ったMEGADEMOで提示される。実際にDEMOは見れるしキャラクタ達はこれはラスタ?とか相当GEEKな会話をしていて、GEEKカルチャーを存分に味わえるのが最高に良かった。作品の持つ物語や映像的な演出、雰囲気は最高だったが、だったがと言ってしまう理不尽な難易度の高さは流石に擁護出来ないと思ってしまった。
前述したOuterWildsのヒントは端々だけだと確かに意味は分からないが非常に丁寧に誘導してくれるし、きちんとたどり着けるような意味が有るヒントのちりばめ方をしてくれているに大して、VirtuaVerseは各アイテムや事象に対してヒントが無さ過ぎる。行動に対しても何かをする為に何かを起さないと行けないと言うのだけは理解できても、誰に対してどんなアプローチをして良いのかがわからないのと、思いついたとしてもそこに対する自由度が無い為、何かをするためにはたった一つの行動しかとる事が出来ない。
店の中で問題を起こす、という事柄に対して自分が暴れる、爆発物を置く、何かを壊す、店主と喧嘩する、客と喧嘩する、と複数思考が巡るのだが正解は席に座って流れてくる回転寿司の中にランダムでカバーが付いていない物があるからそこにエナジードリンク(3種あるなかの一つだけが正解)を掛けて席を立つと、下流にいる客がそれを食べて辛くて暴れる。
そんな事わかるわけねーだろ!!!!!!!!!!!ってなりました。そういう難易度の高さ以外は楽しかったです。やりたい人はOuterWildsとは別で攻略ガン見しながらやって良いと思います。チャートに話のネタバレはないので。
満を持して制作されたわれらが国産VRゲーム開発チームMyDearestの処女作。
VRにおけるADVというのはどうなるんだろうとそのことばかり考えていて、2Dゲームのテキストアドベンチャーの演出は正直ほぼ出尽くしたし殆どを見つくしたと思っていたので非常に楽しみにしていた。
実際そこの部分に関して言うと、想定の範囲無いというかキャラクタが目の前にいるというVRならではの感動や体験以外の部分は想定内ではあったのでそこは少し残念ではあった。かつ、物語も面白くもあったら圧倒的な感動があったかというと、そこまでではなかった。
とはいえだ、それはあくまでも冷静になって分析した際の結果であり、プレイ中の興奮や体験という物はやはり代えがたい物ではあった。非常に楽しんだし、新作のアルトデウスのCFには初日に支援を出す位に楽しんだ。なにより直近でOuterWildsをプレイしてしまったのが全ての原因でしかないと思う。素直に面白かったです。キャラクタも魅力的で愛着も持つ事が出来た。
一番最初に提示され、落ちにもなるメッセージについては最初からどういう事を指しているのかわかってしまっていてそれにつながる為の物語になってしまっていたのでもっとミスリードしやすいようなメッセージだと良かったかなとは思いました。アルトデウス。期待しています。
東国ユリアは死ぬほど可愛かったし救いでした。
待たせやがってよこの野郎最高だったよ。
オーストラリアのチームRoute 59が本当に満を持して世に出した最新作。情報公開時からずっとウィッシュリストの一番上に待機させ、去年の5月頃に発売予定だったのが延期し、8月に発売告知が出され発売されず、一時期音信不通になりもしたが晴れて先日リリースされました。
デモを見た際に感じた3D 表現におけるテキストアドベンチャーの理想をネクロバリスタは最初から最後まで最高のクオリティで押し通してくれました。本当に、もう、文句が一つもない程度に。
ワンクリック事に現れる最高に気が利いたカットとテキスト。死に直面する人間と生き続ける人間とそれを見送るマディ達。いちいちスクリーンショットが止まらず、あまりの良さに頭がヤられ、待たされ続けた事から膨れ上がる期待値を全て受け止めて答えてくれる画が今目の前にある事に打ちのめされる。最高でした。本当に。
頭がワッとなってマディと同じ形の眼鏡をモデリングしてしまった。
サントラも買います。後値段1000円上げてくれても良かった。とにかく最高だった。15語言語対応なのはバカだと思うけどそれも含めて最高だよ。
映画を見ました。映画です。知ってる人は皆知ってる。知らない人は誰も知らないヨーロッパ企画の舞台が原作の映画サマータイムマシンブルースです。
SF研っていうオタク達が直面するそんな体験できたらそりゃあ最高だろうと思うようなオタク達が成せるだろう夢の様な青春劇がサマータイムマシンブルースだと思う。わかりやすくきちんと用意された意味ありげなカットとセリフ。タイムマシンだから後から繋がるんだろうと客に思わせてきちんと一つ一つ紡いでいき、最初に提示された問題解答からラストシーンまでテンポよく気持ちよく進む軽快な映画でした。
夏の暑い日に丁度良いので今の時期に見るのが非常に良いと思うので是非勢いに任せてみて欲しい映画です。小難しい事は一切なく誰でも楽しめる作品です。
ただ、オタクにあんなにやさしい美人はいねーよっていう突っ込みだけは入れてしまった。
後、このねちっこい演技の役者ムロツヨシっぽいなと思ったら若かりし事のムロツヨシだった。良い役者だなぁ
今月のゲームと映画には百合はありませんでした。以上。
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