おもろコワイ人Vol.6
「お化けの正体」
あまり詳しく書くとまずいような感じがするネタなので、少し事実と変えて表現しようと思う。
怪談を集めていると、妖怪や怪人を見たという証言が定期的に寄せられる。
その中には、たまに妖怪や怪人が、それって……作家の●●さんじゃない?っというパターンがある。
例えば、黒メガネで黄色い尖った帽子を被った人さらいが出るという話を小学生との怪談会で聞いた。
それは、知り合いの作家の●●さんが子供のお迎えに行くコースで、彼はいつも度入りのサングラスをかけていて、三角に尖った黄色い帽子を被っている。どうしてそんな帽子を被っているの?と聞いたことがあるのだが、彼曰く「子供といる時って、目が子供にしかいかなくってさ、車に轢かれそうになったことあるんだよ。だから遠くから見ても絶対に目立つ帽子を被るようにしたわけ」ということだった。
しかし、事情の知らない子供たちからすると、夕方になると子供の手を引いたサングラスをかけていて、黄色い帽子の男が歩いていたら不気味に感じることもあるだろう。
他にも、スーツ姿に呪文が書かれている紙が貼られている怪人がいて、その人に追いつかれると死ぬんだってという怪談を聞いたが、それって自称「歩く待ち合わせ場所」中沢健さんではないか?と思っている。
中沢健さんは、スーツにUMAのイラストや、詩などをべたべたと貼り付けていて、頭には「動く待ち合わせ場所」と書かれた紙の帽子を乗せたスタイルで「歩く雑誌」として活動している不思議な人だ。今までテレビ番組や雑誌でも紹介されたことがある。
しかし、知らない人が視たら大人でも正直言って、ギョッとしてしまうだろう。
見慣れない不穏な者を目にすると、子供はその対象物にストーリーを付け加えることがある。
そういえば以前、都市伝説を長年研究している人から、口裂け女や赤マントも実在のモデルがいる説があるという話を聞いた。
時効だと思うから言うけれど、昔、朱川湊人さんの小説で「都市伝説セピア」という作品を読んだ。
その中の「ふくろう男」という作品は、主人公がふくろう男という怪人の噂をネットに書き込み、その噂を現実に引き寄せようとする内に、内に秘めていた願望が膨れ上がっていく……という内容だ。
単純な私は、本を読んで自分も都市伝説に出て来るような、怪人になりたい、梟男でなく、蛙人間になろう!と思い立って、蛙のラバーマスクを被って茂みに隠れたり、夜ちょっとだけ徘徊したことがある。
なので、街中で妖怪や怪人を見たという話の中には、こういう変わった人を運悪く見てしまったというのもきっと含まれているのではないかと疑っている。
でもなぜか、私が蛙の恰好をしなくなってから、私の被っていたのと異なるカラーの蛙マスクの大男の噂が町で流れたことがあった。
私の身長は160センチちょっとで、決して大柄ではない。あの噂の出どころはなんなんだろうと、未だに不思議に思っている。