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Alinea Ep.Ⅵ

素晴らしい出逢いと...、 試練...

かつて、自分もそうだったように
数々のスタジエ(研修生)が世界中からやってくる。

正社員として働きたい者、数日間だけ見学のようにくる者、1ヶ月~2ヶ月と短期間学びにくる者、学校のインターンでくる生徒...

基本的に最低1ヶ月以上研修するスタジエールは、最後食事をご馳走になる。
僕がたった1週間でご馳走にまでなったのは特別だったと、この時知った。

学生から経験の浅い若い料理人、有名店の副料理長、ミシュラン3星のシェフとピンからキリまでくる。
それでも、アリネアの雰囲気の仕事に耐えられず、途中で逃げ出す研修生も後を絶たなかった

だが、たまにくる凄い研修生たちの良いところは、アリネアの雰囲気にのまれない
そんな彼らと仲良くなり、退職した後も仲良く、日本で再開したシェフたちもいる

退職後、ヨーロッパをバックパッカー中に逆に研修させてもらった、オランダのZwolleという郊外の街にあるミシュラン3星のレストラン De Librije
ここは、僕の大好きなレストランの1つだ。
De Librijeの副料理長が研修に来て、僕の持ち場で手伝ってくれ、彼の素晴らしい人柄から仲良くなり、バックパッカー中に連絡を取り研修させていただいた。
De Librijeでは研修後に満席にも関わらず、普段ガーデニングに使われているテーブルを片付けて食事をご馳走していただいた
シェフのJohnny Boerは顔は怖いけど、最高に面白くクリエイティブで美味しい料理を創り、さらに人柄も素晴らしい


イタリアから面白い3人組がきた
**Fernado (フェルナンド)
Domenico(ドミニコ)
Carmine(カルミネ) **

3人ともきっちりと仕事を集中して取り組むが、イタリアらしく仕事を楽しむ気持ちも強く、彼らの内1人はイタリアで再開した**
Domenico (ドミニコ) **

もう1人は、今日本でも有名シェフの1人になっている Carmine(カルミネ)
カルミネは、丸の内のハインツベックというレストランで総料理長をしている


カルミネとはアリネアでも特に仲良くなった研修生の1人だ
緊張感と圧迫感に包まれたキッチンを和まさせてくれたラテンのオーラは、一時だけでもリラックスできてよかった。

彼らには、風船の「紐」の仕込みを手伝ってもらったなぁ

そして、彼ら3人がまかないでニョッキを作ってくれたのを今も覚えている
あんな楽しげなまかないは、後にも先にもこの時だけだったけど(笑)

研修生たちとの出会いは、素晴らしい宝
今でもたまに連絡を取り合い、切磋琢磨しあえる友人がいるってことだけで嬉しい。

仕事中はチームワークの「チ」の字もないレストランだったけれど、今でも共に過ごした戦友と会えば苦労話で盛り上がる


過酷な時期のAMチームを1人で支えてきたお陰か、シェフたちから僕は相当気に入られていた。
それが、災いとなり2名からイジメを受けることとなってしまったんだが、普通はここで大人しく言うことを聞けば、それで収まったんだろうに...

一般的な「日本人」であり続けることは、僕にはできなかった。

仕込んだパーツを隠されたり、体当たりされたり、罵られたりとシェフに見えないとこで色々された。
ムカついた僕は、営業中にデシャップ(調理台)の下で液体窒素のタンクで殴りつけたりと戦っていた...
地下に倉庫があり、そこに食材などを取りに行った時には、毎回襟元を掴み睨み合っていた。

主犯のそいつは身体もでかく、まともにケンカしても勝てるわけがないが、ケンカに必要なのは「力」じゃない「覚悟」であることを感じた。
もう1人、小さいのも便乗して嫌がらせしてきたが、そいつは気にはならなかった。

ある時、仕込み中にあまりの嫌がらせにキレてしまい、偶々オーナーシェフのアケッツがいる時にキッチンの端で、相手の首を掴み一触即発になった。

すぐ様、スーシェフのダンが駆けつけ、僕らを外へ連れ出した。
普段から、ダンはたまに僕を助けてくれていたこともあり、体格差も激しくあったことからも、主犯のそいつのみ厳重に叱れ、一時的に収まったが。
彼らからの嫌がらせは、ちょいちょい退職するまで続いたが、それも今となってはいい思い出だ。

世界で戦うために必要な「自己主張」「覚悟」「責任感」
乗り越えることで、強くなっていく実感を感じていった...

To be continued...


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