CIA Vol.2
**スパイじゃないよ! **
CIAは、一般的に料理大学としての通称で有名だ。
2年生と4年生を選択ができ、最初2年生で入学し途中で4年生に変更も可能だ
4年生を卒業すれば、飲食を扱う学校としては珍しく大卒の資格が取れる。
早く現場に出たかった僕は2年生を卒業した。
4年生の後半2年は主に座学で、スペイン語やフランス語などもう1ヶ国語学ばなければいけかったりもする。
Culinary Arts(調理科)とBaking&Pastry(製菓)のどちらを選んでも、1年生の後半にExternship(日本でいうインターンシップ[以下インターン])が待ち受けている。
インターン先によって待遇は全く違う
無給もあれば、わずかながら給与が出るところもある。
自分で行動を起こせないものに未来はない
ここが1番、他の日本の専門学校と違うんじゃないだろうか
基本的に学校側からインターン先を紹介などしてくれない
生徒が自分たちでレストランや企業などに直に連絡をとり、インターン先を決めていかなければいけない。
一応、学校側も月に何度かレストランや企業を招いた説明会なども開いたりはしてくれるが、交渉の面で推薦なりと手伝ってくれることはない。
自ら苦労してまで、見つけたインターン先は気持ちが入っている分気合も十分に挑む
明確に何の為に働くか見据えているからだと思う
このExternshipが後半の学校生活、他の生徒との1番差が出るプログラムだ
単純にミシュラン店に行くか、星や賞は無いが老舗のレストラン、セレブを相手にするカジュアルダイニング、企業の社食、カフェ etc...
毎週末食べ歩き、研修していた僕は、むしろどこにインターンををするか迷っていた...
インターンが始まる1ヶ月半ほど前にオープンして数ヶ月のThe NoMadというレストランへ食べに行った。
2017年にWorlds 50 Best Restaurant にて世界1位に輝いた、ミシュラン3星の名店Eleven Madison Park(以下EMP略)が出店したデザイナーズホテル「The NoMad HOTEL」内のカジュアルレストラン
ちなみに、生まれて初めて研修したお店はEMPだった。
たまたまNoMadへ食べに行った翌週だった。
あまりの緊張に店の近くのカフェでエスプレッソのトリプルを頼んで挑んだのを覚えている。
EMPでは、まず最初に仕事の仕方を怒られるところからはじまった
仕事をする時、自分の身の回りのアイテムを全て長方形か正方形のようにタイトにまとめ、小さく仕事をすること
目の前で、まな板の周りにテープを貼られ、ここからものを出すんじゃないと
それが出来なれば帰っていいからっと、ビビりながら楽しんで仕事をしたのを覚えている。
後々、アメリカの3星クラスで働くには当然のことで、最初に学んでよかったぁと本当に思う。
今では、タイトに仕事をするのが癖になってしまった。
意外と多いけど、ダスター(雑巾)をたためない人は、それ以前の論外だ
The NoMadはオープン当時、ミシュラン3星を獲得した時のEMPの総料理長 Abram(現 The Modern[ミシュラン2星]総料理長)やスーシェフ(副料理長)のクリス(後にEMP総料理長[現在、独立準備中])、部門シェフたち(後にEMP料理長や副料理長、The NoMad総料理長など)と最強布陣で構成されていた
Photo by Naoto Ohno
そして食事に行った2週間後にミシュランで1星を獲得した。
色々食べに行った中、1番衝撃を受けその場で「ここでインターンをしたい!」と直談判
しかし、スタッフの多さから断られてしまう...
その後も数件食べに行ったり研修してみたが、どうしてもNoMadほどの感動を受けず、何度かメールや電話をするが断れてしまう。
メールなんかでは埒が明かないから、土曜日にもう1度食事へ行き直接つたない英語で思いを伝えた。
そしたら、急に翌日の日曜日に1日研修させてもらうことになり、どうにかここで認めてもらわなければいけないと気合を入れて行った。
AM6:00 キッチンへ入る。
コックコートのサイズを探すが、全部でかい...
ちょいとブカブカのコックコートを来て、軽く会釈をして、元気に「Good Morning」そして、握手を交わす。
握手を交わすのいいよね
所詮現場経験も殆どない学生...
ろくに仕事ができるわけがない。
何ができるか...
言われたことだけを着実にゆっくりだけど丁寧に進める
AM8:30 シェフがくる
同じように握手を交わし挨拶をする。
AM10:00 ランチが始まる前にミーティング
そんなに紹介もなく、始まった。
EMP系列には面白い特徴が2つ。
1. シェフの問いかけとオーダーには、全員息を合わせて大声で
OUI CHEF!!!
2. 営業前の掛け声は、これまた全員息を合わせて大声で
HAVE A NICE SERVICE!!!
ちなみに、全てのオーダーが終えた時には大声で
ALL IN!!!
そんな軍隊な中、盛り付けも食材を持ってくるのも遅く、見劣りしてしまっていた僕も仕事を1つ見つけた
それが掃除だった。
シェフも一緒に全員でランチ営業後、まかない前に掃除する中、シェフよりもめっちゃ速く掃除をこなし、ゴミ捨てなども率先してやることにした。
人が嫌がることを率先し、誰でもできることを誰よりも頑張ろうと。
その時、当時Executive sous-chefだったクリスに、まかないで2品なんか日本っぽいものとタイ風のサラダを作れと言われた。
日本は分かるが...
タ、タイ??
タイに行ったこともなく、あまり食べたこともない、もちろん作ったことなんかない
なんとかイメージだけでタイ風サラダと生姜焼きを作った。
こっそり後でシェフが味のバランスがよかったと言いにきてくれたのは、嬉しかったなぁ。
その日は、そのまま夜まで仕事を終え、翌日の授業のため学校の寮へ戻った。
数日後、シェフからインターンしに来なさいと改めてメッセージが届いた
ここから、The NoMadで4ヶ月ほどのインターンが始まり、CIAを卒業するまで毎週末ずっと働くこととなった
To be continued...
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