Alinea Ep.Ⅳ
最高の1杯...
「Wanna Eat Great Ra-men!(うまいラーメンが食べたい!)」
ベーグルのこの一言から、最高の1杯への1週間が始まった。
普段の尋常じゃない仕込みの傍、ラーメンをメインとしたまかないを1人で担当することとなった。
福岡出身の僕がラーメンで負けるわけにはいかない!!!
中学の担任の教師との会話はラーメンのことしか話していないと通知表に書かれてたくらいラーメンが好きだった。
最近は翌朝、身体が重くだるくなるので控えているけども...
まかないは、The NoMadの時と同じく
・炭水化物
・肉or魚
・野菜料理
・サラダ
・デザート
と、用意しなければいけない。
本気でやるにあたって、まずメニューを決めた。
メインは、ラーメン!
・鴨出汁・和出汁(鰹節、昆布、煮干し)・豚骨のトリプルスープ
・トッピングはチャーシュー・半熟煮卵・ネギ
・野菜料理は、揚げ出し豆腐
・サラダは、ほうれん草の胡麻和え
・デザートは、杏仁豆腐に決まった。
仕込み中は、コンロの数が足りないため、スタッフが全員が帰ってから仕込みを始めた...
必然的に、僕は3日間徹夜だった。
オーナーシェフ アケッツから一言
「いくらかかってもいいから、美味しいラーメンが食べたい!」
週二回捌いていた鴨を、プラス20羽発注し出汁にした。
寸胴を3つプラックへ並べ出汁を取り始め、チャーシュー用の豚バラ肉は、超一級品のバークシャー黒豚を。
スパイスと塩、砂糖とともに一晩マリネしてからスープとともに真空し、
Sou-Vide調理(真空低温調理)する。
火入れが終わったらチャーシューの袋を空けて、液体をスープへと戻す。
ラーメンの返しを作る。
醤油、昆布、シェリーetc...
その返しで煮卵も作る。
麺はパスタマシンで重曹を使い中華麺風を出すように製麺。
デザートまでも気を抜いてはいけない。
杏仁豆腐は葛粉で仕上げた。
まかない当日本番、誰も手伝ってくれないっと思いきや、シェフ ベーグルとサイモンとスーシェフのダンの3人だけ手伝ってくれた。
約40人分のラーメン...
原価だけで約6万円近くかかった。
アケッツやベーグル、スタッフ全員から、人生最高のラーメンそしてまかないだったと大賛辞をいただきスタンディングオベーションが起きた。
「無理してでも、頑張ってよかった。」
それからというもの、毎月1回スーシェフ以上のシェフによるラーメンのまかないが定期的に行われたが、僕のラーメンを超えるものはなかった。
この時、最高の1杯を作ったのがきっかけなのか、後にカルティエの期間限定コンビニ「カルチエ」にて¥1万円のラーメンと、ラーメンに関わらせていただいた。
ラーメン創りは楽しい。
依頼があればラーメン創ります!!!
こんな面白い本気のまかないラーメンで店のスタッフやシェフたちから信頼を得て、翌週部門シェフへと昇進し、新たな過酷な日々が再び始まろうとしているのだった...
To be continued...
料理人である自分は料理でしかお返しできません。 最高のお店 空間 料理のために宜しくお願い致します!