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サムライ茶人が生まれた場所

 2017年3月中旬、旧宇治田原町役場2階の会議室。そこでは2週間後に行う「お茶の京都博」のオープニングイベントで何をするかの打ち合わせがあった。会議には私とお世話になっている宇治田原のお茶屋さん、役場と京都府庁からの職員さんが2人、そしてイベント運営側から2人、計6人がいたように記憶している。

 「お茶を使ったショーをやっている人がいる」と紹介してもらっていたのでお茶のショーをやるのは決まっていたが、何をするか。「お茶の京都博」は京都府が山城地域でやっていたイベントで一年を通してまたイベントでショーをする機会があるということだった。

 私は、何か一つの作品を作りたいとその時思っていた。その頃京都では海外からの観光客も多かったので外国人にもウケるショーをやりたいなと漠然と考えていた。「どういうことをされますか?」という質問に「ボトルを投げるパフォーマンスをしながらお茶を淹れるんですが、、、」と話しながら頭は他のことを考えていた。海外の人も認知しているキャラクター、、、それは「ニンジャ」だ。

 「忍者がお茶を淹れるっていうのはどうですか?」私はそう言った後、誰かが「面白いね」とつぶやいた。

 でも、忍者がお茶を淹れるのだったら絶対に宙返り系の技が欲しい。残念ながら私はバク転、バク宙など出来ない。困った、、、。

 その時、ハッとひらめいた。忍者がだめなら侍があるじゃないか。そこで「あっ、侍がお茶を淹れるのはどうですか?」と言うと、みんなが「それもいいね」っていうことになった。

 とりあえずそのあたりは任せるからということで会議はじゃあ、後は宜しくみたいな雰囲気で終わった。

 キャラクターが明確だとストーリーが生まれ、作品として成立する。「侍」というテーマを見つけた私はワクワクが止まらなかった。

 侍がお茶を淹れるから侍の茶人。海外の人にもイメージしやすいようにカタカタにしてサムライにするとサムライ茶人、しっくりくるじゃないか。サムライ茶人がお茶を振舞う、サムライ茶人の茶フルマイ、茶の文字が被るから一つはCHAにして、ショーの名前が「サムライ茶人のCHAフルマイ」になった。

 名前が決まると内容、衣装、音楽などがどんどん明確になっていく、その過程は楽しい。その頃は短髪だったので侍っぽくするためにちょんまげのカツラを被ったが、その姿はユーモラスで賛否両論だったのは懐かしい思い出だ。

 2週間という短い期間で形にしたキャラクターだったが今でもしっかり活動していることを考えると、アイデアがハマると一瞬で形になるものだなと感慨深い。

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