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T'S BAR 20夜 DAVID SYLVIAN
Secrets Of The Beehive / DAVID SYLVIAN
ディビッド・シルビアンのソロ4作目です。
1970年代にセンセーショナルなビジュアルで登場したジャパンというバンドは、その外見で注目され、評価もされました。
特にリーダーのディビッド・シルビアンと弟のスティーブの美貌は、映画スターやモデルを凌いでいたほどでした。
必然的に話題は彼らのファッションに集中し、肝心の音楽への関心は低かったように感じられました。
しかし、実は彼らの作品はクオリティが高くて、メンバーにギタリストがいた初期のアルバムから芸術性が高まる後期のアルバムまで、全てが必聴盤です。
ジャパンについてのコメントを書き始めると長くなりそうなので、やめておきますが、間違いなく過小評価されているバンドでしょう。
80年代に入り、バンドは分裂してそれぞれの活動に入ります。
あまり知られていないかもしれませんが、ディビッド以外のメンバーそれぞれの活動も実は質が高く、良い作品を残しています。
さて、ディビッド・シルビアンさんです。
ソロ作品では、アンビエントへの傾倒がうかがえ、より前衛的になってゆきます。
作品はシリアスかつ厳かで、真剣に音楽と向き合っている姿勢が感じられます。
実験音楽的なアプローチをしていても機械的にならず、人間を感じさせます。
ただ、中には歌の無いアルバムもあり、そうすると、彼の音楽作りを素晴らしいと思いながらも、やっぱりディビッド・シルビアンの気怠い声が欲しいなぁ、と思ってしまったりはしてしまいます。
この「シークレット・ビーハイブ」は、彼の歌も聴けて、いろいろバランスが良いので、人に勧めやすいアルバムです。
私の持っているCDには、ボーナストラックとして、坂本龍一さんと作った「禁じられた色彩」も入っていました。
(その後、リマスターされた際には、別の曲に差し替えになっています。)
音楽に真摯に向き合う、美しい求道者の良盤です。